日本皮膚科学会雑誌
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アトピー性皮膚炎とcAMP
稲冨 徹
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1987 年 97 巻 8 号 p. 883-

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抄録

アトピー性皮膚炎におけるアデニレートサイクラーゼ系の異常につき検討した.アトピー性皮膚炎患者25例について血中cAMP値とその他のパラメータを測定,比較した.また,その内重症例5例については組織中のcAMPを測定した.その結果,本症においては,血中cAMP値が高く,重症度,血中LDH値,抹消血中好酸球数,合併症の有無と相関した.しかしながら,血中IgE値やCa値,家族歴の有無とは相関しなかった.また,本症では軽傷であっても比較的高値が持続した.組織中では皮疹部においてcAMP濃度が高く,ヒスタミンを加えると無疹部との差が大きくなった.以上の結果から,本症における血中cAMP値の基礎値の上昇並びに症状との相関を,いわゆる「アトピー」に見られる反応の臨床的表れの一つと考えた.その原因の一つにヒスタミンなどのケミカルメディエーターに対する感受性の亢進があると推察した.

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© 1987 日本皮膚科学会
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