日本皮膚科学会雑誌
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立毛筋母斑―Piloleiomyomaの筋線維との病理組織学的比較と本邦報告例の考察―
池谷 敏彦新田 悠紀子服部 泰子佐々田 健四郎
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1987 年 97 巻 9 号 p. 999-

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抄録

生後6ヵ月の男児および11ヵ月の女児の臀部に発生した立毛筋母斑と41歳女性および60歳女性のmultiple piloleiomyomaに対しH・E染色,アザン・マロリー染色,エラスチカ・ワンギーソン染色を施し両者の筋線維束の違いについて検討した.立毛筋母斑はpiloleiomyomaに比較し筋線維束がより成熟し,立毛筋にちかい構造であった.またエラスチカ・ワンギーソン染色においては立毛筋母斑では弾力線維は筋線維束の周辺の結合組織中を走行するが,piloleiomyomaでは周辺結合織中のみならず筋線維束内にも入りこんでいる像がみられた.さらに本邦において報告された立毛筋母斑(naevus leiomyomatosus,平滑筋母斑)43例を集計した結果,生下時または生後6ヵ月以内に発症または発見されたものが77%をしめていた.発症部位はまちまちであるが,体幹,臀部に多く65%をしめていた.臨床像は皮下に浸潤またはしこりを持つ色素斑および紅斑が多く,その他皮下結節,腫瘤と報告されたものもあるが,その84%に局所に多毛がみとめられた.

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© 1987 日本皮膚科学会
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