日本皮膚科学会雑誌
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チオプロニンによる薬疹の検討
市川 澄子志田 祐子長野 伊津子清水 正之
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1988 年 98 巻 1 号 p. 1-

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抄録

過去6年間に経験した8例のチオプロニンによる薬疹を検討した.結果は男性2例,女性6例,年齢は30歳代から60歳代まで分布しており,原疾患に膠原病を伴うものは1例のみであった.発疹の臨床形態は扁平苔癬型4例,多型紅斑型2例,中毒疹型,湿疹型各1例であった.扁平苔癬癬型はさらに,チオプロニン長期内服後(3ヵ月,1年)発症する群と,短期間内服後(12日,13日)発症し,発熱等の全身症状を伴う群に分かれた.臨床検査所見では全例で好酸球増加をみ,原因薬剤確認試験では,リンパ球幼若化試験では1例で陽性を示したのみであったが,貼布試験では発疹の臨床形態にかかわらず全例陽性であった.さらに,扁平苔癬型症例においては,貼布試験陽性部位は湿疹型反応を呈したが,2週間後には扁平苔癬型反応を呈した.

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© 1988 日本皮膚科学会
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