日本皮膚科学会雑誌
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末梢神経鞘腫瘍における免疫組織化学的検討
高橋 博之
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1988 年 98 巻 10 号 p. 987-

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抄録

腫瘍細胞が有する抗原物質の特異性検索を目的とし,19症例の良性ならびに悪性末梢神経鞘腫瘍を用いて免疫組織化学的検索を施行した.悪性変化を示した5症例中,4症例がvon Recklinghausen病を基礎疾患としていた.今回の検索から以下の知見を得た.a)S-100 proteinβsubunitは腫瘍の悪性化とともに減弱化し,b)同α-subunit陽性細胞は増加していた.c)beta 2 microglobulinの反応性は悪性化を呈した場合は消失していた.d)横紋筋への分化能力,悪性化におけるvimentin陽性細胞の存在などからSchwann cellの間葉系細胞的性状が示唆された.今回の検索から,末梢神経鞘腫瘍における免疫組織化学的検索は腫瘍の発生母地,悪性化への可能性,神経原性組織への分化能力の想定に極めて有用と考えられた.

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© 1988 日本皮膚科学会
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