日本皮膚科学会雑誌
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グリセオフルビンによる実験的プロトポルフィリン症の可逆性に関する検討―第2報 Griseofulvin-induced protoporphyriaに対するコール酸の影響―
入船 弘子
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1988 年 98 巻 12 号 p. 1177-

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抄録

Griseofulvin(GF)-induced protoporphyriaに対するcholic acid(CA)の影響を調べるために,dd-y系マウスに0.5%GFと0.5%CAを同時に投与し,血中,肝,糞便中の各ポルフィリン値の変動,および投与後のそれらのポルフィリン値を測定した.さらに,0.5%GF含有飼料を与えprotoporphyriaを誘導したdd-y系マウスに,GF投与中止後CAを投与することにより,ポルフィリン値の正常化にCAが影響を与えるか否かについて検討した.その結果,0.5%GF+0.5%CA含有飼料25日間投与で,血中,肝porphyrin(P)体値は,0.5%GF単独投与群に比べ低値を示したが,糞便中Pは遂に高値を示した.また,0.5%GFを与えあらかじめprotoporphyriaを誘導したマウスにCAを投与したところ,正常飼料のみを与えた群と比較し,血液中,および肝P体値の正常化傾向に有意差を認めなかった.すなわち,肝臓に蓄積したP体の,CAによる排泄促進はみられなかった.以上の結果より,GF投与により肝臓に増加しつつあるP体は,CAを投与することにより,血清から血球へのとりこみの過程が抑制され,かつ,胆汁から糞便への排泄が促進されるのではないかと推測した.しかし,既にP体が肝臓に蓄積した場合,CAのP排泄促進作用は弱いものと考えられた.

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© 1988 日本皮膚科学会
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