日本皮膚科学会雑誌
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98 巻, 12 号
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  • 1988 年 98 巻 12 号 p. 1161-
    発行日: 1988年
    公開日: 2014/08/08
    ジャーナル 認証あり
  • 金井 貴子, 大井 綱郎
    1988 年 98 巻 12 号 p. 1165-
    発行日: 1988年
    公開日: 2014/08/08
    ジャーナル 認証あり
    腫瘍親和性を有する光感受性物質であるヘマトポルフィリン誘導体HpDとargon dye laserによるphotodynamic effectを明らかにするため,4種類の培養細胞を用いて形態学的に検討した.その結果,HpDとレーザー光線によりいずれの細胞に対しても殺細胞効果を認めたが反応に差が見られた.ヒト皮膚由来のJTC-17と子宮頚癌由来のHeLaではmitochondriaの破壊から細胞質に空胞を生じた.これに対して,メラノーマ由来の細胞であるHMV-IとClone M-3ではmitochondriaの変化は軽微であり,むしろ核膜やribosomeに変化が見られ,細胞は球状に変形し空胞状とはならなかった.この反応性の差異が治療効果と関係するのではないかと考えた.
  • 入船 弘子
    1988 年 98 巻 12 号 p. 1177-
    発行日: 1988年
    公開日: 2014/08/08
    ジャーナル 認証あり
    Griseofulvin(GF)-induced protoporphyriaに対するcholic acid(CA)の影響を調べるために,dd-y系マウスに0.5%GFと0.5%CAを同時に投与し,血中,肝,糞便中の各ポルフィリン値の変動,および投与後のそれらのポルフィリン値を測定した.さらに,0.5%GF含有飼料を与えprotoporphyriaを誘導したdd-y系マウスに,GF投与中止後CAを投与することにより,ポルフィリン値の正常化にCAが影響を与えるか否かについて検討した.その結果,0.5%GF+0.5%CA含有飼料25日間投与で,血中,肝porphyrin(P)体値は,0.5%GF単独投与群に比べ低値を示したが,糞便中Pは遂に高値を示した.また,0.5%GFを与えあらかじめprotoporphyriaを誘導したマウスにCAを投与したところ,正常飼料のみを与えた群と比較し,血液中,および肝P体値の正常化傾向に有意差を認めなかった.すなわち,肝臓に蓄積したP体の,CAによる排泄促進はみられなかった.以上の結果より,GF投与により肝臓に増加しつつあるP体は,CAを投与することにより,血清から血球へのとりこみの過程が抑制され,かつ,胆汁から糞便への排泄が促進されるのではないかと推測した.しかし,既にP体が肝臓に蓄積した場合,CAのP排泄促進作用は弱いものと考えられた.
  • 小林 敬三, 大塚 藤男, 張 俊祥, 石橋 康正, 森川 実
    1988 年 98 巻 12 号 p. 1183-
    発行日: 1988年
    公開日: 2014/08/08
    ジャーナル 認証あり
    5例の健常皮膚片から分離した表皮角化細胞をSwiss mouse3T3細胞上で培養した.何れの表皮細胞も3代以上の継代培養が可能であった.同細胞は3~4層に重層して表皮様の構造を呈し,dispase処理にてシート状のままフラスコ底面から剥離し,培養表皮片を作製することができた.初代培養および1回目の継代培養後,即ち培養開始16~28日後には採取した皮膚片の100~1,000倍の面積の培養表皮片が得ることが可能であった.我々の所見は本邦皮膚科領域において培養表皮片の移植を行うに必要な基礎的知見を提供するものと考えた.
  • 大草 康弘, 長島 正治
    1988 年 98 巻 12 号 p. 1189-
    発行日: 1988年
    公開日: 2014/08/08
    ジャーナル 認証あり
    シアル酸特異レクチンであるLimax flavus agglutinin(LFA)を用い正常ヒト皮膚,特に表皮,エックリンおよびアポクリン汗腺,脂腺,メラノサイト,また皮膚腫瘍のうち外陰・腋窩・乳房Paget病,悪性黒色腫,Bowen病,有棘細胞癌,基底細胞上皮腫,脂漏性角化症,母斑細胞性母斑におけるシアル酸の分布,局在を組織化学的に検索した.方法はHRP標識LFAを用いる直接法によった.表皮では角質層を除くすべての細胞層が一様に陽性反応を示した.エックリン汗腺分泌部では表層細胞,基底細胞とも陽性反応を示し,特に基底細胞の細胞膜が強陽性を示した.アポクリン汗腺分泌部腺細胞も陽性反応を示し,特に細胞質が顆粒状の強陽性反応を示した.脂腺,メラノサイトも陽性反応を示した.皮膚腫瘍では外陰・腋窩・乳房Paget病,悪性黒色腫,Bowen病,有棘細胞癌,基底細胞上皮腫,脂漏性角化症,母斑細胞性母斑とも腫瘍細胞がいずれも陽性反応を示した.そのうち外陰・腋窩・乳房Paget細胞および悪性黒色腫細胞の約半数が強陽性を示した.以上の結果よりヒト表皮ではシアル酸が均等に分布していること,汗腺ではエックリン汗腺分泌部基底細胞およびアポクリン汗腺分泌部腺細胞に多量に存在することが示唆された.皮膚腫瘍では外陰・腋窩・乳房Paget細胞,悪性黒色腫細胞にシアル酸が多量に存在していた.特に悪性黒色腫細胞では正常メラノサイトや母斑細胞性母斑細胞に比較して,より豊富に存在していた.このことより,これら細胞が悪性化するに従いシアル酸量が増加することが示唆された.
  • 堀内 長晴
    1988 年 98 巻 12 号 p. 1197-
    発行日: 1988年
    公開日: 2014/08/08
    ジャーナル 認証あり
    抗CA19-9モノクローナル抗体(NS19-9)を用いた免疫組織化学染色を試みた.同抗体は正常皮膚組織においてはエクリン汗管部を,また数種のエクリン汗管に由来または分化を示す腫瘍においては管腔構造部および一部の非管腔構造部を認識した.NS19-9はエクリン汗管を認識する点において,これまで報告されているエクリン汗器官を認識するどの抗体よりも特異性が高く,エクリン汗管に分化を示す腫瘍の診断に極めて有用と考えられた.
  • 前田 学, 鹿野 由紀子, 市來 善郎, 中野 一郎, 森 俊二
    1988 年 98 巻 12 号 p. 1205-
    発行日: 1988年
    公開日: 2014/08/08
    ジャーナル 認証あり
    健常人15名と全身性強皮症患者37名を対象に末梢血中における血小板由来因子,β-トロンボグロブリン(β-TG)と血小板第4因子(PF4)値を測定した結果,β-TGの高値例は全身性強皮症患者21例(56.8%)と多く,健常人は3例(20%)と少なかった(p<0.001).またPF4は各々26例(70.3%)および2例(13.3%)に高値例がみられ,有意差があった(p<0.01).両手にバイブレーターを用いて2分間の振動負荷を与えると,健常人ではβ-TG及びPF4共に負荷前後で差は見られなかったが,一方,強皮症患者では,β-TGは116.6±68.9ng/mlから155.3±58.2ng/mlと上昇し(p<0.02),またPF4も同様に55.8±39.5ng/mlから75.7±32.8ng/mlと上昇した(p<0.05).また血中β-TGとPF4値は正の相関を示したが,健常人の相関係数0.973に比べ,強皮症患者は0.586と低く,負荷後は各々0.829及び0.432とさらに低下した.以上より,健常人では影響を受けない程度の振動負荷でも強皮症患者の血小板は活性化されることより,振動負荷が血小板―血管系に影響を及ぼしている事が予想された.
  • 藤澤 重樹, 大岡 久雄, 稲冨 徹, 山本 裕子, 森岡 貞雄
    1988 年 98 巻 12 号 p. 1211-
    発行日: 1988年
    公開日: 2014/08/08
    ジャーナル 認証あり
    アトピー性皮膚炎(以下AD)284例(男136例,女148例)の臨床症状についてdata basement system ADOSを用いて解析し,以下のことが明らかとなった.全年齢層でみられるADの症状は発汗による瘙痒,顔・伸側の局面,非特異的手足皮膚炎,耳切れなどである.口唇炎,関節窩の局面,乾皮症,Dennie-Morganの下眼瞼皺襞,手掌の過剰皺襞,再発性結膜炎,毛孔角化,前頚部皺襞,白色粃糠疹,過労による増悪,Hertoghe徴候,乳頭湿疹,魚鱗癬などは加齢とともに多くなる.45歳以上の高齢の症例では口唇炎,関節窩の局面,Dennie-Morganの下眼瞼皺襞,再発性結膜炎,毛孔角化,前頚部皺襞,白色粃糠疹,耳切れ,過労による増悪,乳頭湿疹の発現率が減り,臨床的にいわゆるADらしさに欠ける.各症状の発現率の性差についてはHertoghe徴候が男子で,手足皮膚炎,乳頭湿疹,関節窩の局面,手掌の皺襞が女子で各々多く認められた.前頚部皺襞,Hertoghe徴候,耳切れ,乳頭湿疹,再発性結膜炎は重症度を表わす皮膚症状としてのパラメータになるが,白色粃糠疹,手足皮膚炎,魚鱗癬,毛孔角化は重症度との関わりが小さい.ADの症状の出現に関わる因子のうち最も相関度が高い因子か年齢でその次が血清IgE値である.すなわちADの症状の発現は年齢により大きく左右され,前頚部皺襞,Hertoghe徴候,耳切れ,乳頭湿疹,再発性結膜炎がある場合は重症で高い血清IgE値を有するADであると予測されることが明らかとなった.
  • 斎田 洋子, 門倉 充代, 小川 みのり, 藤澤 龍一, 杉崎 徹三
    1988 年 98 巻 12 号 p. 1219-
    発行日: 1988年
    公開日: 2014/08/08
    ジャーナル 認証あり
    全身性エリテマトーデス(SLE)患者2例にヒトgammaglobulin製剤の投与を試み,投与前後における皮疹の変化,臨床検査成績,光学顕微鏡所見ならびにDermal-Epidermal junction(DEj)に沈着した免疫複合体(IC),即ち免疫グロブリン及び補体の動態について検討した.gammaglobulin投与の結果,蝶形紅斑(maculopapular rash)並びに光顕所見上効果を認め,DEjに沈着していたIgGが明らかに軽減した.しかしながらdiscoid lesionは沈着IgGが軽減したにもかかわらず,変化を認めなかった.以上の結果はgammaglobulin投与が皮膚沈着ICの溶出をもたらし,さらに臨床,病理学的所見に影響を及ぼしたと考えられた.このことよりICの沈着が皮疹部の組織傷害を引き起こす免疫学的機序に関与している可能性が示唆されるが,maculopapular rashとDiscoid lesionに効果の差が認められたことは,その臨床発現にはさらにIC以外の因子の関与の大なることが推察された.
  • 岸本 三郎, 平野 眞也, 秋月 みわ子, 小林 和夫
    1988 年 98 巻 12 号 p. 1231-
    発行日: 1988年
    公開日: 2014/08/08
    ジャーナル 認証あり
    典型的なarteriovenous fistulae(AVF)の1例に対して交感神経の分布をアミン湿式蛍光法にて検討した.本腫瘤内には,交感神経の分布を認める動脈性血管と認めない静脈性血管が存在していた.さらに,交感神経が標的器官である動脈外膜から離れていく現象(交感神経の離脱現象)を示した血管も認められた.交感神経の離脱現象は標的器官の変性を意味することより,AVFは,決して静的状態で留まったものではなく,一部の血管は変性し,他方では再生している動的状態の腫瘤であることを示した.
  • 岩崎 雅, 浅井 俊弥, 塚本 宏太郎, 衛藤 光, 西岡 清
    1988 年 98 巻 12 号 p. 1235-
    発行日: 1988年
    公開日: 2014/08/08
    ジャーナル 認証あり
    40歳,女性.Cytophagic histiocytic panniculitisに相当すると考えられる1例を報告すると共に,免疫組織化学的および電顕的検討を加えた.発熱とともに有痛性の皮下結節が多発し,経過中に一部の皮疹に表皮の壊死がみられ,また肝脾腫,汎血球減少,凝固系異常を含む出血傾向がみられた.組織学的には,当初皮下脂肪織に類上皮細肪肉芽腫を一部にみる,異型性に乏しい単核細胞主体の細胞浸潤からなる脂肪織炎であったが,経過中に,erythrophagocytosisをみるマクロファージが散見されるようになった.治療としてCHOPによる化学療法を施行し,皮疹および全身症状の著明な改善をみた.免疫組織学的,電頭的検索では,浸潤細胞において,単球-マクロファージ系細胞に分化や異型をみとめず,しばしば軽度の核異型をみる細胞はT細胞と考えられた.以上から,本症は組織球系の異常症というより,リンパ球系とくにT細胞の異常症で,二次的にマクロファージの増殖をみたものである可能性が示唆された.
  • 山口 朋彦, 坪井 良治, 関 万里子, 佐藤 壮彦, 矢口 秀男, 小川 秀興
    1988 年 98 巻 12 号 p. 1249-
    発行日: 1988年
    公開日: 2014/08/08
    ジャーナル 認証あり
    lymphocutaneous typeのノカルジア症より分離したNocardia asteroidesの新鮮株を,アルブミン以外には極端に窒素源を制限した液体培地で培養したところ,その培養上清中に中性,アルカリ性領域に至適pHを有する,少なくとも一つ以上のproteinase活性が認められた.更にタンパク分解酵素阻害剤を用いた実験から,このproteinaseがserine proteinaseであり,従来N.brasiliensisから報告されているproteinaseとは性質が異なることが示唆された.
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