日本皮膚科学会雑誌
Online ISSN : 1346-8146
Print ISSN : 0021-499X
ISSN-L : 0021-499X
全身性強皮症患者の末梢血中における血小板由来因子―振動負荷に伴った血中β-トロンボグロブリンと血小板第4因子値の変動―
前田 学鹿野 由紀子市來 善郎中野 一郎森 俊二
著者情報
ジャーナル 認証あり

1988 年 98 巻 12 号 p. 1205-

詳細
抄録
健常人15名と全身性強皮症患者37名を対象に末梢血中における血小板由来因子,β-トロンボグロブリン(β-TG)と血小板第4因子(PF4)値を測定した結果,β-TGの高値例は全身性強皮症患者21例(56.8%)と多く,健常人は3例(20%)と少なかった(p<0.001).またPF4は各々26例(70.3%)および2例(13.3%)に高値例がみられ,有意差があった(p<0.01).両手にバイブレーターを用いて2分間の振動負荷を与えると,健常人ではβ-TG及びPF4共に負荷前後で差は見られなかったが,一方,強皮症患者では,β-TGは116.6±68.9ng/mlから155.3±58.2ng/mlと上昇し(p<0.02),またPF4も同様に55.8±39.5ng/mlから75.7±32.8ng/mlと上昇した(p<0.05).また血中β-TGとPF4値は正の相関を示したが,健常人の相関係数0.973に比べ,強皮症患者は0.586と低く,負荷後は各々0.829及び0.432とさらに低下した.以上より,健常人では影響を受けない程度の振動負荷でも強皮症患者の血小板は活性化されることより,振動負荷が血小板―血管系に影響を及ぼしている事が予想された.
著者関連情報
© 1988 日本皮膚科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top