1988 年 98 巻 6 号 p. 613-
本邦で初めて高速液体クロマトグラフィーで糞便中にX-porphyrinを証明した典型的な異型ポルフィリン症を報告する.54歳女性.家族内同症はない.初診6ヵ月前より赤色尿が続き,肝機能障害を指摘され,プロトポルフィリン製剤を内服.その頃より日光裸露部に小水疱,色素沈着を生じた.軽度肝機能障害,および異型ポルフィリン症に特有の尿中ポルフィリン体,ポルフィリン前駆体の上昇がみられ,高速液体クロマトグラフィーでも尿中ポルフィリン体の典型的なパターンとともに糞便中にX-porphyrinと推定されるピークが見られた.プロトポルフィリン製剤内服中止により症状,検査所見の改善は見られなかった.プロトポルフィリン製剤が光に対する増感剤として作用し皮膚症状の顕現化に関与した可能性もあると考えた.