日本皮膚科学会雑誌
Online ISSN : 1346-8146
Print ISSN : 0021-499X
ISSN-L : 0021-499X
ヘアレスラットにおけるマグネシウム欠乏性皮膚炎の組織学的観察
花田 勝美鈴木 賢二橋本 功
著者情報
ジャーナル 認証あり

1988 年 98 巻 8 号 p. 797-

詳細
抄録

マグネシウム(Mg)は生体にとって必須の金属であり,Mgの欠乏は実験的に皮膚炎を惹起しうる.ここでは新たに開発されたヘアレスラットを用い,実験的Mg欠乏性皮膚炎を作成,光顕的,電顕的観察とともに免疫組織学的検索を行った.欠乏食投与4~6日で,ヘアレスラットには赤色丘疹から環状紅斑が発現,あるものは小水疱,び爛を伴い,約10~14日後自然に消退した.四肢末端は侵されず亜鉛欠乏性皮膚炎とは対照的であった.組織は丘疹部で過角化,有棘層の肥厚,リンパ球,好中球の密な細胞浸潤を認め,紅斑局面では海綿状態,空胞変性,液状変性等が観察された.電顕的には紅水疱部で,基底細胞ないし直上の有棘細胞に変性像が観察されたがデスモゾームには変化がなかった.免疫組織化学的にはラットT細胞(non-helper),Thy-1陽性細胞が紅斑部真皮浅層に密に集族していた.

著者関連情報
© 1988 日本皮膚科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top