抄録
46歳,男子の右腰部に生じたEccrine spiradenomaを電顕的及び免疫組織化学的に検索した.光顕的には,腫瘍細胞はヘマトキシリンに濃染する小さな核をもつ細胞と淡染する大きな核をもつ大型の細胞の2種類がみられたが,電顕的には形態差が乏しく同一種類の細胞と考えられた.管腔面を構成する腫瘍細胞には,短絨毛及び管腔周囲線維帯が認められ,エックリン導管曲管部様構築と考えた.基底側細胞の一部は,filaments with focal densitiesを細胞質内にもつことより筋上皮細胞様細胞と考えられた,酵素抗体法にても,抗myosin抗体陽性像を認め腫瘍巣内で上皮細胞と筋上皮細胞様細胞の間に移行があると思われた.また一部の管腔側細胞は,単層上皮と特異的に反応する抗keratin抗体にて陽性を示し,分泌細胞への分化も否定できなかった.なお,第Ⅷ因子関連抗原による検索では,豊富な血管の存在が確認され,Kersting & Helwigの組織分類にてType-Bに属すると推測した.