中枢神経系の可塑性変化を人工的に誘導させる有効な介入方法として,連合性ペア刺激(Paired Associative Stimulation: PAS)がある.PASは,末梢の感覚神経に対する電気刺激と脳の一次運動野に対する経頭蓋磁気刺激(Transcranial Magnetic Stimulation: TMS)を特定のタイミングで同期させる手法である.本研究の目的は,経皮的脊髄刺激(transcutaneous Spinal Cord Stimulation: tSCS)とTMSを組み合わせたPASが中枢神経系に与える影響について明らかにすることであった.健常成人男性10名を対象に,18分間,120回のPASによる介入を行い,介入前後における下肢6筋(大腿直筋,内側広筋,大腿二頭筋,前脛骨筋,ヒラメ筋,腓腹筋)の皮質脊髄路興奮性を評価した.評価はTMSを用いて,皮質脊髄路興奮性を反映する運動誘発電位を各筋から記録した.その結果,大腿二頭筋,ヒラメ筋,腓腹筋の複数筋で,PAS介入による運動誘発電位の増大が認められた.したがって,tSCSとTMSのPASが広範な一次運動野の下肢支配領域において可塑的変化を誘導して,皮質脊髄路興奮性を増大させることが示された.