本研究の目的は,異なる環境温湿度条件において,衣服が濡れて張り付いた際の生理・心理状態及び生地状態の変化を調査し,環境刺激が不快感に与える影響を明らかにすることである.このために,20分間運動することで発汗を促した後に,環境温湿度が異なる5つの環境で人の生理・心理状態を調査した.加えて,同環境での生地状態を調査した.その結果,以下のことが明らかとなった.(1)低湿度の環境では,生地からの熱移動速度が速いため,冷感や濡れ感が生じ,不快感が発現する.(2)人体にとって中立的な温度環境では,濡れた生地がすべるまでに時間がかかり,生地の抵抗力が大きい物理状態であることと,環境による温熱刺激が弱いことから,接触時の力学的な要素による不快感が発現する.(3)高温湿度の環境では,衣服内湿度が高くなり蒸れ感やべたつき感が生じ,不快感が発現する.以上の結果から,衣服が濡れて張り付くことに伴う衣服の快適感を検討する際に,環境刺激の影響を考慮することの必要性が示された.