ハムストリングス肉離れは,疾走動作中の遊脚期後半に発生する.特に,ハムストリングス構成筋の中でも,大腿二頭筋長頭での肉離れの発生が多い.そこで,本研究では,疾走動作中遊脚期後半における大腿二頭筋長頭の筋腱長の増減に影響する骨盤・下肢関節運動の特徴を角度入力による動作シミュレーションから明らかにすることを目的とした.40名の男性大学アスリートの走動作データを三次元動作計測した.そして,測定した走動作データをもとに,大腿二頭筋長頭の筋腱長を増加させた走動作および減少させた走動作を推定した.結果として,大腿二頭筋長頭の筋腱長の増減に対して,膝関節の屈曲伸展運動と骨盤の前傾後傾運動が最も影響することが明らかとなった.一方で,筋腱長の増減に対して,股関節の屈曲伸展運動の影響は少なかった.したがって,ハムストリングス肉離れの受傷リスク減少を目指すための走動作として,大腿二頭筋長頭の筋腱長を制御するためには膝関節の屈曲伸展運動および骨盤の前傾後傾運動の制御が寄与する可能性がある.