デサントスポーツ科学
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研究論文
ケトン体の経口摂取は運動誘発性の鉄欠乏に対して有効か?―ヘプシジン分泌応答に着目して―
林 七虹
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2025 年 46 巻 p. 33-41

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抄録

【目的】活動的な若年女性を対象に,持久性運動後におけるケトン体(β HB)の経口摂取がエリスロポエチン(EPO)およびヘプシジンの分泌応答に及ぼす影響を検討した.【方法】活動的な若年女性8 名(20 ± 1 歳)を対象に,高強度インターバル運動後に25.5gのβHB(8.5g/1時間, 3回)を摂取する(β HB)条件とプラセボを摂取する (CON)条件の2 条件を実施した.運動前,直後, 30 分後,60 分後,120 分後および180 分後に採血を行った.【結果】β HB 条件における血清β HB濃度は運動30分後から180分後まで有意に上昇し,いずれの時点もCON 条件と比較して有意に高値を示した.β HB 条件における血中グルコース濃度は,CON 条件と比較して有意に低値を示した.血清ヘプシジン濃度には,有意な変化は認められなかった.運動180 分後における血清EPO 濃度の変化量には,条件間での有意差が認められた.【結論】若年女性におけるβ HB の経口摂取はEPO 濃度を変化させたが,ヘプシジンの分泌応答に影響 を及ぼさなかった.

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