2025 年 46 巻 p. 42-50
運動時における筋痙攣は突然に発生する不随意収縮であり,適切な予防対策が重要である.しかし,筋痙攣の生理学的メカニズムは解明されておらず,脳や脊髄などの中枢神経を要因とする説,筋などの末梢神経を要因とする説が挙げられる.本研究ではマトリクス表面筋電図を用いて,腓腹筋外側頭の筋痙攣発生に伴う筋活動様式の変化を明らかにすることを目的とし,利き足関節の底屈運動を行った際の信号計測を行った.結果として,筋痙攣の前兆が発生した際に,空間的筋活動の分布パターンが変化することが明らかとなった.局所的な部位において,筋電信号の振幅が増加し,高周波帯域の信号成分が多く観察されたほか,新たな神経支配帯の出現が認められた.これらの結果は,サイズの原理から逸脱したα運動ニューロンが異常発火したことにより,局所的に強い筋収縮を引き起こす筋痙攣が発生したと推測される.本研究は筋痙攣の発生起源は中枢神経を由来とする説を支持する結果となった.