ヒトの熱知覚は環境適応に重要な役割を果たしており,温冷感と熱的快適感の2要素に分類される.本研究では,脳波測定とダイポールおよび事象関連スペクトラム摂動解析を組み合わせて,熱知覚形成に関連する脳活動の時空間パターンを解明した.実験1では局所的な冷・温刺激による温冷感の脳活動パターンを,実験2では全身と局所の温熱刺激の組み合わせによる熱的快適感の脳活動パターンを検討した.その結果,温冷感では右前中心回,楔前部,内側前頭回などの重複する脳領域が活性化し,冷・温刺激間で異なる時間的活動パターンを示した.熱的快適感では,上前頭回,内側前頭回,前帯状回,島皮質などが関与し,快適・不快感で明確に異なる時空間活動パターンが観察された.これらの知見は,温熱知覚が特定の脳領域における異なる神経摂動パターンによって処理されることを示唆している.