抄録
近年の国内外における教育をめぐる議論では,社会の中で生きていくための汎用的コンピテンシーの育成が強く求められており,これは外国語教育でも同様である.また教師養成では,リフレクション能力を高めることが重視されている.一方,教職課程設置科目「ドイツ語科指導法」等の担当教員を対象に筆者が行ったアンケート調査では,教授法・方法論など理論的・実践的知識を教えることに重点を置く教員と,ドイツ語文法などドイツ語能力の育成に重きを置く教員に分かれる傾向が見られた.また,汎用的なコンピテンシーの育成を目指していることを示唆する回答は非常に少なかった.国内外における議論の方向性とアンケート調査結果とを照らし合わせると,「ドイツ語科指導法」等の授業内容は,国内外における近年の議論の動向から大きく乖離していることがわかる.