日本重症心身障害学会誌
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一般演題
O-1-05 重症心身障害児(者)に対する当院の人工呼吸器管理における新型コロナウイルス感染症対策としての取り組み
西村 友香子本郷 倫章寺倉 智子玉村 宣尚木藤 嘉彦村松 三四郎
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2021 年 46 巻 2 号 p. 226

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抄録
はじめに 国立病院機構では基本要件7項目のガイドラインを示し、長期療養患者が使用する人工呼吸器の標準化を推進している。当院でも、人工呼吸器を装着している重症心身障害児(者)(以下、重症児(者))に対しては、このガイドラインを基準に選定している。これらの機器は、感染症対策も可能である急性期施設で使用されている高性能な人工呼吸器ではない。そこで、現在の人工呼吸器管理で使用中の呼吸回路における新型コロナウイルス感染対策上の課題を検討した。また、院内での感染者発生を想定した人工呼吸器管理における呼吸回路ついても検討した。 方法 人工呼吸器(株)PHILIPS製Trilogyシリーズにて、現在使用中の呼気ポート付き呼吸回路(パッシブ回路)でのウイルスを含む細かな水滴(マイクロ飛沫・エアロゾル)の発生・拡散リスクを検討した。人工呼吸器管理中の重症児(者)が感染した際の呼吸回路の変更におけるウイルス除去可能な人工鼻(HME)の性能を検討した。また、院内で感染者が発生した場合に使用するHME付き呼吸回路の接続手順を検討した。 結果・考察 パッシブ回路の吸気側ではコロナウイルスを除去できるバクテリアフィルターを装着している。しかし、呼吸回路の構造上において、呼気側はコロナウイルスを除去できるバクテリアフィルターの装着が不可能である。感染時にはマイクロ飛沫・エアロゾルによる感染拡大やクラスター発生の予防を鑑み、重症児(者)の身体的特徴や呼吸状態等を考慮したコロナウイルスを除去できるHMEを使用する必要があることが分かった。パッシブ回路からHME付き呼吸回路への変更手順書を作成した。 まとめ パッシブ呼吸回路における新型コロナウイルス感染対策上の課題を確認し、院内感染者の発生を想定した呼吸回路の接続手順書を作成できた。重症児(者)のQOLおよび医療安全を考慮し、感染者発生時の感染拡大・クラスター発生の予防策を検討できた。
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© 2021 日本重症心身障害学会
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