デジタルゲーム学研究
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Print ISSN : 1882-0913
即時的な反応を要求するゲームとその熟達が感情経験に与える影響
木村 知宏
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2020 年 13 巻 1 号 p. 21-29

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抄録

本研究では、感情・覚醒チェックリストと携帯型唾液アミラーゼ測定機器を用いて、デジタルゲームが感情経験とス トレス反応に与える影響について検討するために、2 つの実験を行った。これらの実験では、質問紙による主観的反応の 測定と唾液の採取がゲームプレイ前後に 2 回ずつ行われた。実験Iでは、30 名の大学生が 3 つの群(スキル学習群、 対戦群、統制群)に無作為に割り当てられた。スキル学習群は対戦格闘ゲームの操作技術を学習するゲームモードをプ レイし、対戦群は同じ対戦格闘ゲームのコンピュータと対戦するゲームモードをプレイした。統制群はゆっくりと村での生 活を楽しむゲームをプレイした。実験IIでは、熟達度によって 2 つに分けた群にそれぞれ 10 名の実験参加者を割り当 て、どちらの群の参加者も対戦格闘ゲームをプレイした。その結果、どちらの実験においても唾液中α‐アミラーゼの有 意な変化は見られなかったが、有意な主観的反応の差が見られた。スキル学習群と対戦群においては、活力感と緊張感 が生起されることが示された。また、長期的なプレイ経験のある熟達したプレイヤーは、熟達していないプレイヤーよりも 長く活力感を持続させるということが明らかになった。

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© 2020 日本デジタルゲーム学会
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