抄録
本研究は、ゲーミフィケーションが活用されたサービスのユーザーの、サービスに対する「ロイヤリティ」の形成過程の検証を目的として、コミュニティ機能や外部 SNS 連携機能を含むゲームの仕組みが備わった学習支援サービスのユーザー調査を行った。分析の結果、サービスへの「知覚価値」による「ロイヤリティ」への正の影響(直接効果)と共に「ゲーミフィケーションへの満足」の媒介効果が確認され(部分媒介)、「ゲーミフィケーションへの満足」による「ロイヤリティ」への影響については「拒否回避欲求」の強弱による差異が生じており(調整効果)、「拒否回避欲求」の弱いユーザーは強いユーザーよりも「ロイヤリティ」が高まる程度が強いことが示された。「賞賛獲得欲求」の調整効果はみとめられなかった。これらの結果から、「知覚価値」と「ゲーミフィケーションへの満足」が「ロイヤリティ」を同時に高めることと、他者の否定的な見方をあまり気にしないユーザーについては気にするユーザーよりもゲーミフィケーションの「ロイヤリティ」を高める効果が高いことが明らかになった。