デジタルゲーム学研究
Online ISSN : 2434-4052
Print ISSN : 1882-0913
ゲーム内役割体験に基づく裁判員制度学習の有効性に関する研究
-「有罪×無罪」を用いた高校におけるゲーム体験ワークショップを通して-
鎌倉 哲史 須田 一哉ヴィニットポン ルジラット藤原 正仁馬場 章
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2012 年 6 巻 1 号 p. 1-12

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抄録
裁判員制度教育の実践にあたっては役割体験の重要性が指摘されるが、模擬裁判の実施には教 師・生徒に大きな負担がかかる。そこで本研究では高校生18名を対象としたワークショップを通して、 模擬裁判に代わるデジタルゲーム内役割体験に基づく裁判員制度学習の有効性について検討した。市販 のゲームソフト「有罪×無罪」を素材としてゲーム内で裁判員の役割体験をさせ、先行研究と同一の尺 度を用いて学習効果を測定したところ、以下の 5 点が明らかとなった。(1) 参加者は「有罪×無罪」の 教材としての有効性を高く評価していた。(2) 裁判員制度に対する関心、参加意欲、及び評議参加への 自信は事後に有意に向上していた。(3) 選択式の知識テスト得点に関して有意な向上は見られなかった。 (4) 記述式の理解度テスト得点に関して有意な向上は見られなかった。(5) 裁判員制度に対する印象につ いて、「こわい」の出現頻度が減少し「重い」の出現頻度が増大した。ただし各形容詞の意味付けには 個人差が見られ、文脈に基づく解釈が重要であることが確認された。
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© 2012 日本デジタルゲーム学会
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