抄録
現実世界の日本社会では、若者の性的関心・行動の減少が指摘される一方で、メタバースの一種であるソーシャルVR、その中でも若年層がユーザーの大半を占めるVRChat では、バーチャルセックスが一つの文化として根付きつつあるという言説が広がっている。本発表では、VRChat の日本人コミュニティへのWeb アンケート調査結果をもとに、若年層ユーザーのバーチャルセックスの実態把握を試みた。その結果、次のことが明らかになった。(1)生物学的男性は現実世界での性交の経験率とVRChat でのバーチャルセックスの経験率がそれぞれ過半数を占めているのに対し、生物学的女性は現実世界での性交の経験率が生物学的男性に比べて著しく高く、VRChat でのバーチャルセックスの経験率は著しく低い。(2)VRChat でのバーチャルセックスの経験はあるが、現実世界での性交の経験がないという層が一定数存在する。(3)生物学的男性の場合、本人の性的指向や、本人が異性を演じているかどうかに関係なく、異性以外とのバーチャルセックスの経験が多くみられた。