抄録
NS の普及で新聞等メディアに加えて個人等による情報発信と拡散が増大し,世界には誤情報や偽情報,バイアスにより歪んだ情報が加わり,個人が処理する情報量が急増した.また,この特徴を利用して意図的に人の認知に影響を与えるインフルエンスオペレーション(以後,IOと呼ぶ)も知られるようになった.我々には多量の情報からその真偽や発信・拡散者の意図を見抜き,正しい意思決定を行う能力が求められるため,情報リテラシー教育が各教育機関で行われている.しかし,IO の存在を意識した高いメタ認知能力を発揮するための教育は現在行われていない.そこで,我々は既に義務教育等を経た人を対象とした情報リテラシー教育として,ゲーム空間での経験により,自らが無意識に認知バイアスに囚われて誤った判断をする可能性の存在を認識することが有効であろうと考え,これを目的とするシリアスゲームを試作した.本稿では,本試作の概要と評価の方針について述べる.