抄録
本研究では、実験哲学に関するゲーミフィケーションを活用した新たなオンライン調査方法の開発を行った。その後、Google フォームを用いた調査と比較し、回答結果とエンゲージメントについて評価を行った。回答結果については、2 つの質問項目を除いて統計的な有意差は見られず、記述統計量を確認しても差は見られなかった。このことから、開発したオンライン調査が従来の調査方法と基本的には同様に使用できることが示唆された。一方で、2つの質問項目において統計的な有意差が見られ、ゲーミフィケーションを活用することで、社会的望ましさ反応バイアスの影響を抑制できることが示唆された。エンゲージメントについては、感情的エンゲージメントのみに統計的な有意差が見られ、行動的、および、状態的エンゲージメントには統計的な有意差は見られなかった。このことから、複雑で難解な実験哲学の調査においても、ゲーミフィケーションを活用することで、興味や楽しさといった感情的反応を呼び起こせることが示唆された。加えて、自由記述を分析した結果、「選択と結果」に言及している感想・コメントが最も多く、感情的エンゲージメントを高める上で効果的であることが分かった。