抄録
ビデオゲームのデジタルアーカイブにおいて、映像保存のみではプレイヤーの意思決定や操作意図といった「プレイ体験」が欠落する課題がある。本研究では、映像への付加情報が視聴者の理解に与える影響を検証するため、対戦パズルゲーム『スーパーパズルファイターII X』を用いた比較実験を行った。未経験者を対象に「操作入力の可視化」と「字幕解説」の効果を比較した結果、字幕解説がルールの理解とメンタルモデルの修正に著しく寄与することが明らかになった。一方、入力可視化情報は「不注意盲目」により看過されやすく、初学者への学習効果は限定的であった。これらの結果に基づき、本研究では視聴者の習熟度に応じて提示情報を「コンテキストレイヤー(意味)」と「プロシージャレイヤー(操作)」に階層化するモデルを提言し、さらに生体信号を用いた感情体験の保存可能性について論じる。