道南医学会ジャーナル
Online ISSN : 2433-667X
入院時持参薬に基づく多剤併用状況の調査
鈴木 秀峰大泉 博文木村 舞貴阿部 桂祐高津 和哉平吹 真理子小原 貴子三上 祥博向井 博也間部 克裕
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2019 年 2 巻 1 号 p. 31-33

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抄録
【目的】近年、問題のある多剤併用(ポリファーマシー)に医療者が積極的に介入し改善していくことが求められており、日本老年学会より高齢者における薬物療法ガイドラインが作成され、「特に慎重な投与を要する薬物のリスト」(以下、リストとする)が提示された。また、平成28年度の診療報酬改定においては薬剤総合管理加算が新設された。当院においては病棟薬剤業務として病棟専任薬剤師が持参薬の鑑別を行い、使用薬剤の情報提供をしている。今後、薬剤師がポリファーマシーに積極的に介入するため、当院入院患者の処方薬剤の使用状況についての調査を行ったため報告する。 【方法】2018年4月1日から4月14日に持参薬鑑別書を作成した119名を対象とし、年齢、性別、お薬手帳の有無および入院時の使用薬剤についてレトロスペクティブ調査を行った。頓用薬を除いて6剤以上の使用をポリファーマシーと定義した。また、65歳以上の患者についてはリストの該当の有無について合わせて調査を行った。 【結果】調査を行った全119名において、ポリファーマシーの患者は79名(66.4%)であり、使用薬剤の中央値は8剤であった。お薬手帳の使用による使用薬剤数中央値の減少傾向はみられなかった。65歳以上においてはポリファーマシーの割合は79.2%であった。非ポリファーマシーの患者と比較するとリスト該当薬剤の使用患者の割合は79.2%に対し89.6%、使用剤数中央値は1.0剤に対し2.0剤と両者とも多くなる傾向がみられた。リスト該当薬剤としては、抗血栓薬(33.3%)、緩下薬(22.9%)、睡眠薬(19.8%)の順に多かった。 【考察】薬剤による有害事象のリスクが高い高齢者において、ポリファーマシーの割合が高くなり、またそれによりリスト該当薬剤の使用頻度も多くなることから入院時の薬剤師の薬学的介入が必要であることが示唆された。
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© 2019 道南医学会
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