道南医学会ジャーナル
Online ISSN : 2433-667X
当院通所リハビリテーション利用者における介護度の変化と要因の検討
笹原 理司村上 正和佐々木 恭平伊藤 なごみ永井 祐之木村 千智三浦 一志
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2019 年 2 巻 1 号 p. 27-30

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抄録
【目的】在宅リハビリテーションに求められる役割として地域在住高齢者の障害予防や社会参加の支援が挙げられる.本研究の目的は当院通所リハビリテーションに通われている利用者を対象に介護度に変化を及ぼす要因を明らかにすることである. 【方法】対象は当院通所リハビリテーション利用者様のうち要支援から要介護へと悪化した症例および要介護から要支援へと改善した症例20名(男性14名,女性6名,平均年齢77.4±8.4歳)である.調査項目は介護度,年齢,性別,認知機能の評価であるMMSE,ADLの評価であるFIMの各項目と合計点,IADLの評価であるFAIの各項目と合計点,家族構成とした.対象者を悪化群13名(男性12名,女性1名,平均年齢76.9±9.0歳),改善群7名(男性2名,女性5名,平均年齢78.4±7.7歳)の2群に分け,各調査項目を比較した.統計解析はMann-Whitney のU検定及びχ2検定を用い,各項目を比較した.次に単変量解析にて有意差を認めた項目を独立変数,介護度の改善及び悪化を従属変数としてロジスティック回帰分析を実施した,いずれの検定も危険率5%未満を有意とした. 【結果】単変量解析にて有意差を認めた項目は,TUG,FAI項目の食事片づけ,買い物,屋外歩行,FAI合計点(悪化群/改善群=10点/27点,P=0.003 ),FIM項目の階段と合計点であった.ロジスティック回帰分析の結果選択された項目はFAI合計点(β=0.199,P=0.023,OR=1.22,95%CI:1.03-1.45)であった.(R2=0.527,P=0.002) 【考察】ロジスティック回帰分析の結果,FAI合計点が選択されたことから,介護度の変化にはIADLの影響が大きいことが示唆される.特に家庭内で役割を持ち,積極的に屋外を出ていることが介護度の改善には必要であると考えられる.
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© 2019 道南医学会
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