道南医学会ジャーナル
Online ISSN : 2433-667X
肥満低換気症候群の1例
若林 修筒井 理裕吉田 史彰志田 晃熊谷 大嗣川村 朋子大山 峻佑安田 真悟三島 誠一水口 賢史
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2019 年 2 巻 1 号 p. 53-56

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抄録
症例は、70歳代女性。201X年10月体重増加に伴い体動困難となった。11月中旬に呼吸困難となったために、A病院に救急搬送された。右肺炎、心不全、心房細動と診断し、入院治療が開始された。利尿剤、抗生剤などの治療により、全身状態、呼吸循環動態が安定し、廃用症候群のリハビリのため、12月中旬に転院となった。転院時、身長149cm、体重90.2kg、体格指数BMI(body mass index)40.6kg/m2の高度な肥満であった。動脈血液ガス分析では、室内気、仰臥位で、pH7.40、 pCO2 54.7Torr、 pO2 56.0TorrとII型呼吸不全を呈していた。肺機能検査では、肺活量0.96L、対標準肺活量44.2%と高度な拘束性換気障害を認めた。画像所見から、肺の器質的疾患は認めず、肥満低換気症候群によるII型呼吸不全と考えた。簡易終夜睡眠ポリグラフでは、無呼吸低呼吸指数AHI(apnea hypopnea index)は、39.2回/時間(中枢性0、閉塞型0.1、混合型0、低換気39.1回)であり、重度の睡眠時無呼吸症候群を合併していた。当院入院中に、食事療法と運動療法を行った。体重は78.5kgへと11.7kgの減量が得られ、動脈血液ガス分析(pH7.36、pCO2 45.7Torr、pO2 69.0Torr)と肺機能検査(肺活量1.19L、対標準肺活量54.8%)、睡眠中の酸素飽和度も改善が得られた。鼻持続陽圧呼吸nCPAP(nasal continuous positive airway pressure)療法や在宅酸素療法は施行せず、201X+1年5月末自宅退院となった。
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© 2019 道南医学会
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