道南医学会ジャーナル
Online ISSN : 2433-667X
当院におけるマイクロサテライト不安定性検査施行症例の検討
畑中 一映東野 真幸甲谷 理紗子鈴木 和治杉浦 諒宮本 秀一安孫子 怜史木下 賢治山本 義也成瀬 宏仁棟方 哲
著者情報
ジャーナル フリー

2021 年 4 巻 1 号 p. 1-6

詳細
抄録

【背景】マイクロサテライト不安定性(MSI)検査は2018年11月に保険償還された。高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)症例には、免疫チェックポイント阻害薬Pembrolizumabが本邦初のがん横断型治療薬として使用可能となっている。MSI-Highの割合は癌腫によって異なり数%程度と報告されているが、MSI-High症例では免疫チェックポイント阻害薬の有用性が示されている。【目的】当院においてMSIを測定した患者の背景・陽性例の割合、MSI-High症例における治療経過の調査を行う。【対象と方法】2018年12月から2020年8月まで当科でMSI検査キット(FALC0)を用いてMSI検査を施行した患者に対し、レトロスペクティブに調査を行った。【結果】期間中MSI検査を施行した当院症例は86例(消化器内科75例、産婦人科6例、呼吸器内科4例、乳腺外科1例)であった。消化器疾患75症例の検討では、食道癌2例、胃癌11例、十二指腸癌3例、大腸癌38例、胆道癌10例、膵癌8例、その他3例に検査が行われていた。胃癌2例、胆道癌1例でMSI-Highであった。MSI-High胃癌症例1では三次治療にてNivolumabを使用した後に胃全摘術を施行したところ、病理組織学に完全奏効CRが確認された。胃癌症例2では三次治療でPembrolizumabを使用したが、奏効は得られなかった。【まとめ】観察期間内における当院MSI検査施行症例86例中、MSI-Highは3例(3.5%)であった。胃癌MSI-High症例1例では、免疫チェックポイント阻害薬による治療を行いCRが確認された。

著者関連情報
© 2021 道南医学会
次の記事
feedback
Top