道南医学会ジャーナル
Online ISSN : 2433-667X
4 巻, 1 号
道南医学会ジャーナル第4号
選択された号の論文の17件中1~17を表示しています
  • 畑中 一映, 東野 真幸, 甲谷 理紗子, 鈴木 和治, 杉浦 諒, 宮本 秀一, 安孫子 怜史, 木下 賢治, 山本 義也, 成瀬 宏仁, ...
    2021 年 4 巻 1 号 p. 1-6
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/01
    ジャーナル フリー
    【背景】マイクロサテライト不安定性(MSI)検査は2018年11月に保険償還された。高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)症例には、免疫チェックポイント阻害薬Pembrolizumabが本邦初のがん横断型治療薬として使用可能となっている。MSI-Highの割合は癌腫によって異なり数%程度と報告されているが、MSI-High症例では免疫チェックポイント阻害薬の有用性が示されている。【目的】当院においてMSIを測定した患者の背景・陽性例の割合、MSI-High症例における治療経過の調査を行う。【対象と方法】2018年12月から2020年8月まで当科でMSI検査キット(FALC0)を用いてMSI検査を施行した患者に対し、レトロスペクティブに調査を行った。【結果】期間中MSI検査を施行した当院症例は86例(消化器内科75例、産婦人科6例、呼吸器内科4例、乳腺外科1例)であった。消化器疾患75症例の検討では、食道癌2例、胃癌11例、十二指腸癌3例、大腸癌38例、胆道癌10例、膵癌8例、その他3例に検査が行われていた。胃癌2例、胆道癌1例でMSI-Highであった。MSI-High胃癌症例1では三次治療にてNivolumabを使用した後に胃全摘術を施行したところ、病理組織学に完全奏効CRが確認された。胃癌症例2では三次治療でPembrolizumabを使用したが、奏効は得られなかった。【まとめ】観察期間内における当院MSI検査施行症例86例中、MSI-Highは3例(3.5%)であった。胃癌MSI-High症例1例では、免疫チェックポイント阻害薬による治療を行いCRが確認された。
  • 佐藤 賢一郎, 福島 安義
    2021 年 4 巻 1 号 p. 7-13
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/01
    ジャーナル フリー
    【はじめに】我々は,卵巣腫瘍の悪性診断にMR拡散強調像を取り入れているが,卵巣子宮内膜症性嚢胞の悪性化の診断においては,MR拡散強調像で嚢胞内容自体が高信号に描出される場合があり限界を感じていた。また,T2およびT1強調像の両者で中〜高信号を示し充実部分の造影効果の判定も不明瞭な場合がある。今回,悪性の除外にMR拡散強調像に加えて造影サブトラクション像が有用であった卵巣子宮内膜症性嚢胞の2例を経験したので報告する。【症例】症例1は50歳(閉経前),月経痛の主訴で受診したところ,経腟超音波で右卵巣に充実部分を伴う約5cmの卵巣子宮内膜症性嚢胞と思われる病変を認めた。悪性診断の目的でMRI検査を施行したところ,拡散強調像では充実部分の評価が困難な部分を認めたが,造影サブトラクション像では造影される充実部分は認めなかった。現在,ディナゲスト投与による逃げ込み療法を行っている。症例2は47歳(閉経前),子宮癌検診の希望で受診し1週間前からの左下腹部痛と,時々不正性器出血を認めるとの訴えがあった。経腟超音波で左卵巣に充実部分を伴う約3cmの子宮内膜症性嚢胞と思われる病変を認めた。悪性診断の目的でMRI検査を施行したところ,拡散強調像では充実部分の評価が困難な部位を認めたが造影サブトラクション像では造影される充実部分は認めなかった。現在,外来で経過観察中である。【結論】1)卵巣子宮内膜症性嚢胞の悪性化診断において,MR拡散強調像に造影サブトラクション像を加えることにより充実部分の評価が容易となる可能性が示唆された。2)卵巣子宮内膜症性嚢胞の充実部分には非腫瘍性病変もあり得るが,これらの悪性診断にはMR拡散強調像がある程度役立ち,さらにROMA値や場合によりPET/CT検査などを加えることにより診断精度の向上が期待できる可能性が示唆された。
  • 佐藤 賢一郎, 福島 安義
    2021 年 4 巻 1 号 p. 14-17
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/01
    ジャーナル フリー
    【はじめに】内腸骨動脈瘤は,孤立性に認められる場合と腹部大動脈瘤に合併して認められる場合がある。稀な疾患であり,産婦人科医にとってはあまり馴染みのない疾患でもある。そのため,本疾患が念頭にないと卵巣腫瘍との鑑別診断が困難になる可能性があり得る。今回,下腹痛の主訴で他科より紹介され,当初,悪性卵巣腫瘍の茎捻転を疑った内腸骨動脈瘤の1例を経験したので報告する。【症例】症例は,78歳,閉経不詳,2産で,6ヵ月前より慢性腎不全にて血液透析治療の目的で当院療養病棟に入院中であった。突然の下腹部痛を訴えCT検査を施行したところ,未破裂腹部大動脈瘤および左卵巣腫瘍を疑われ産婦人科を紹介された。視診にて左傍臍正中切開痕を認めたが,既往歴は認知症のため聴取不能であった。左下腹部の腫瘤の存在する部位に軽い圧痛を認めるが反跳痛,筋性防御はなかった。経腟超音波では,子宮は認められず骨盤左側に6cmの内部構造を伴った嚢胞性腫瘤を認めた。CT検査では,左腸骨動脈に接して壁在結節様の所見を伴う嚢胞性腫瘤を認めたが造影効果は認めなかった。臨床所見および画像所見より左卵巣腫瘍で悪性疑い,および茎捻転の可能性を考えた。精査の目的でMRI検査を予定したところ,検査前スクリーニングの過程で左内腸骨動脈瘤が判明した。3D CT画像を作成したところ,卵巣腫瘍と思われたのは左内腸骨動脈より嚢胞状に発生した動脈瘤であることが確認され産婦人科は終診とした。【結論】1)本例の経験より,画像所見で充実性成分を含んだ嚢胞性腫瘤の所見を示し,腸骨血管に接している場合には内腸骨動脈瘤も疑うべきであると思われた。2)産婦人科における内診,経腟超音波検査は内腸骨動脈瘤発見の良い機会であると考えられ,女性には頻度が低く稀な疾患ではあるが産婦人科医も知っておくべき疾患であると思われた。
  • 米谷 則重, 渡辺 亮介, 相馬 美月, 松田 宗一郎, 津田 桃子, 水島 健, 久保 公利, 加藤 元嗣
    2021 年 4 巻 1 号 p. 18-21
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/01
    ジャーナル フリー
    【背景】自己免疫性胃炎であるA型胃炎は抗壁細胞抗体によって胃底腺が傷害され、胃体部萎縮が起こる。最近では、H. pylori感染胃炎とA型胃炎の合併例の報告も増えてきている。H. pylori感染胃炎を背景に持つA型胃炎の診断は困難であることが多い。そこで、H. pylori感染状態とA型胃炎の内視鏡像の特徴を検討した。【方法】当院でA型胃炎と診断された症例を対象とした。A型胃炎の診断は内視鏡的に体部萎縮が強い逆萎縮を認めかつ抗壁細胞抗体10倍以上または抗内因子抗体陽性とした。H. pylori感染診断はウレアーゼ活性を用いない診断法(抗体法、便中抗原、鏡検)で行い、抗体法ではE-プレートの3をカットオフとした。H. pylori感染診断の結果から、未感染、現感染、既感染に分けて、それぞれの内視鏡像について後方視的に検討した。【結果】当院で2016年から2019年の間で、A型胃炎と診断された症例は31例で、年齢は33才から91才で中央値は73才で男女比は1対2であった。H. pylori感染状態では未感染が8例、現感染が1例、既感染が22例であった。9例は除菌前後で内視鏡観察がされ、平均観察期間は約1.8年であった。9例中8例で除菌後に萎縮の程度が増強ないしは範囲の進展が確認され、除菌後に初めてA型胃炎が疑われることが多かった。体部の腸上皮化生は未感染群で3/8、感染合併群では20/22に認め、地図状発赤も13/22で認めた。胃癌合併は未感染群で1/8、感染合併群で5/22であった。【結語】H. pylori感染合併A型胃炎は注意深い逆萎縮の診断が重要で、H. pylori感染がA型胃炎の病態に影響を与えている可能性が示唆された。
  • 米谷 則重, 松田 宗一郎, 津田 桃子, 水島 健, 久保 公利, 加藤 元嗣
    2021 年 4 巻 1 号 p. 22-23
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/01
    ジャーナル フリー
    胃Vanishing tumorは胃粘膜下層への炎症細胞浸潤による一過性の隆起性病変である。主に胃アニサキス症に伴って生じることが知られているが、その頻度は胃アニサキス症の2-4%と稀である。今回我々は、胃アニサキス症が原因となった胃Vanishing tumorの1症例を経験したので報告する。
  • 津田 桃子, 水島 健, 米谷 則重, 渡辺 亮介, 松田 宗一郎, 久保 公利, 加藤 元嗣, 小野寺 友幸
    2021 年 4 巻 1 号 p. 24-30
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/01
    ジャーナル フリー
    【目的】近年,新規機序薬の開発により便秘治療の選択肢は拡大したが,その選択は容易ではない.便秘は,排出障害型(O),大腸通過遅延型(D),大腸通過正常型(N)に病態分類されるが,その分類には専門的検査を要し,実地臨床では困難である.本研究では,当院便秘外来患者の治療薬と治療効果を調査した.また,USと腹部X線(US+X)を用いて便秘の病態分類し,治療効果の客観的評価を試みた.【方法】対象は2019年5月~2020年7月に当院便秘外来で治療開始前にUS+Xを施行し得た患者とした.治療薬はエロビキシバット,ルビプロストン,ポリエチレングリコール(PEG)製剤を追加した.患者が2回連続治療薬変更希望なしの場合に治療効果ありとし,それまでに追加した薬剤が1剤(A),2剤(B),効果なし(C)の3群に分けた.治療開始前にUS+Xを施行し,USで便の有無を上行結腸,横行結腸,下行結腸,S状結腸(S),直腸(R)の5か所で同定した.腹部X線で直腸ガスの有無を判定し,直腸にガスありをO型,直腸にガスなし,USでSand/orRに便ありをD型,S+Rに便なしをN型とした.【成績】対象は62人(男20:女42),平均年齢66±17歳.A群37人,B群17人,C群8人であった.A群のうち最終的に内服薬なし8人であった. C群は中央値12か月(6-14)通院しており,3剤併用するも効果なしであった.初診時US+XでO型12人(19.3%),D型36人(58.1%),N型14人(22.6%)と分類した.また,初診時Bristol便形状を硬便(1-2):普通便(3-5):水様便(6-7)とすると,各々28人(45.2%),22人(35.5 %),12人(19.3%)であった.US+Xによる病態分類はBristol便形状と相関する傾向にあった.治療効果ありとされたA+B群54人中39人で治療前後のUSを施行したが,17人(43.6%)はUS+X による病態分類に変化なかった.【結論】当院便秘外来では87.1%の患者で1~2剤の治療薬で治療効果ありであった.しかし,治療前後のUSによる便秘の病態分類は約半数で変化なかった.
  • 久保 公利, 米谷 則重, 松田 宗一郎, 津田 桃子, 水島 健, 加藤 元嗣
    2021 年 4 巻 1 号 p. 31-37
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/01
    ジャーナル フリー
    【症例】81歳、男性【主訴】嘔吐、下痢【現病歴】2020年5月15日に経皮内視鏡的胃瘻造設術(PEG)を施行した。6月18日に嘔吐と水様性下痢(7回)を認め、翌日に近医を受診した。CTで腹腔内free airと左上腹部の空腸に壁内気腫を認めたために、消化管穿孔疑いで当科を紹介受診した。【既往歴】反復性脳梗塞(2019年)、外傷性くも膜下出血(2019年)、胸部大動脈瘤(2017年)、直腸癌(2015年)【経過】来院時に発熱(37.0℃)と血液検査で炎症反応の上昇(WBC 9.1× 109/L、CRP 6.33 mg/dL)を認めたが、腹部に圧痛は認めず腹膜炎は否定的であった。上部消化管内視鏡検査(EGD)で胃瘻のトラブルは認めず,胃瘻からのガストロ造影検査で腹腔内への造影剤の漏れは認めなかった。以上から腸管嚢胞性気腫症(PCI)の診断で入院し、絶食点滴による保存的加療を行った。入院11日目に施行したCTで腹腔内free airと壁内気腫の消失を確認した。経腸栄養を再開しPCIの再燃がないことから入院34日目に退院した。【結語】保存的加療で軽快したPCIの1例を経験したので報告する。
  • 大高 和人, 大原 正範, 岩代 望, 鈴置 真人, 小室 一輝, 高橋 亮, 溝田 知子, 水沼 謙一, 郭 紗弥
    2021 年 4 巻 1 号 p. 38-41
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/01
    ジャーナル フリー
    巨大肺嚢胞に対する手術術式は、嚢胞壁を切開し嚢胞底の気管支開口部を閉鎖した後、嚢胞壁を折りたたむように被覆縫着するNaclerio-Langer法が有名である。今回、この方法を少し変えて手術を行い、良好な経過を得られたので報告する。症例は40代男性で、左胸腔の大半を占める巨大肺嚢胞に対して、有症状で嚢胞が増大傾向を示したため、胸腔鏡手術を施行した。巨大肺嚢胞の嚢胞壁を切開し可及的に切除後、嚢胞底にポリグリコール酸(polyglycolic acid;PGA)シート+フィブリン糊を貼った。嚢胞壁を連続縫合し、その上にPGAシート+フィブリン糊を貼って補強した。術後リークなく経過し、呼吸機能も改善した。今回施行した術式は、肺実質の切離を伴わず、手技的にも比較的容易であり、有用な方法と考えられた。
  • 郭 紗弥, 鈴置 真人, 大原 正範, 岩代 望, 小室 一輝, 高橋 亮, 大高 和人, 溝田 知子, 水沼 謙一, 木村 伯子
    2021 年 4 巻 1 号 p. 42-48
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/01
    ジャーナル フリー
    フルニエ壊疽は会陰部を主病変とする壊死性筋膜炎で,原因疾患としては痔瘻,肛門周囲膿瘍が多く,直腸癌が原因となることは稀である.今回,フルニエ壊疽を契機に発見された直腸癌の1例を経験したので,文献的考察を加えて報告する. 症例は70代,男性.食思不振,歩行困難を主訴に当院へ救急搬送され入院となった.入院時,会陰部,右臀部から大腿にかけての腫脹と疼痛,臀部皮膚の壊死が認められ,CTでは同部位に皮下気腫,筋肥厚などを伴う高度の炎症像と下部直腸に腫瘤像が確認された.以上から,進行直腸癌を原因としたフルニエ壊疽と診断した.入院時の全身状態は不良で,敗血症により著明なアシドーシス,急性腎障害をきたしており,ベッドサイドで臀部壊死皮膚の除去,ドレナージを施行後,エンドトキシン吸着,持続式血液透析濾過,抗生剤投与などの治療を開始した.集中治療により全身状態の改善が得られ,入院第7病日,フルニエ壊疽に対する治療目的に腹腔鏡下S状結腸人工肛門造設,右臀部,会陰部のデブリードマン,ドレナージを施行した.また手術の際,直腸腫瘍の生検も行い,直腸癌の確定診断を得た.遠隔転移は認められないが,前立腺,仙骨側へ進展する局所進行癌であり,臀部,会陰部創の状態がある程度改善した時点で,術前化学放射線療法を行う方針とした.入院から約1ヵ月後,腫瘍部を含む小骨盤腔への外照射(45Gy/25fr)+S-1内服による化学放射線療法を開始し,腫瘍の縮小効果が得られたため,初回入院から約4ヵ月後,腹腔鏡下腹会陰式直腸切断術を施行した.病理組織学的検査ではviableな腫瘍細胞は固有筋層内にとどまっており,ypT2N0M0,ypStage I,ypRM0(6mm)でR0切除の結果となった.その後の経過は術後13ヵ月で局所再発をきたし,術後23ヵ月が経過した現在,腹膜転移に対して全身化学療法を行っている.
  • 武藤 真奈美, 久保 公利, 加藤 元嗣
    2021 年 4 巻 1 号 p. 49-50
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/01
    ジャーナル フリー
    【目的】函館市の胃癌検診受診率は3.3%、大腸癌検診受診率は3.1%であり、全国と比べて低い。また大腸癌の標準化死亡比は137.8と高値であることが特徴である。当院では2017年に内視鏡検診を導入した。今回我々は内視鏡検診受診者数の推移と検診による癌発見者数について検討を行った。【対象と方法】2017年4月から2020年3月までに当院で内視鏡検診を施行した294例(上部169例、上下部125例)について受診者数の推移およびリピーター数、癌発見者数について後方視的に検討を行った。【結果】年齢は27歳から89歳まで平均値54.4歳で、男性178例、女性116例であった。検診受診者数は2017年度83例(上部51例、上下部32例)、2018年度89例(上部46例、上下部43例)、2019年度122例(上部72例、上下部50例)であり増加した。リピーター数は2018年度15例(16.9%)、2019年度36例(29.5%)であった。癌発見者数は2017年度早期胃癌1例、2018年度早期大腸癌1例、2019年度早期大腸癌1例、早期胃癌2例であった。【結語】内視鏡検診受診者数、リピーター数ともに年度毎に増加した。また、検診により5名の早期癌を発見できた。しかしリピーター率は29.5%であり、改善の余地がある。今後は内視鏡検診に対する満足度調査を行い、リピーター数の増加に努めていきたいと考える。
  • 福原 直美, 久保 公利, 加藤 元嗣
    2021 年 4 巻 1 号 p. 51-55
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/01
    ジャーナル フリー
    【背景】2020年5月から函館新都市病院において消化器内科外来が開設された。内視鏡検査の開始に伴う内視鏡処置介助研修の依頼があり、2020年4月に内視鏡検査介助未経験の看護師3名が当院内視鏡室でそれぞれ1週間の研修を行った。【目的】上下部内視鏡検査について適切な処置介助の指導が行えたか評価すること。【期間】2020年4月6日から4月24日まで。【方法】研修前に内視鏡技師1名が指導係として研修進行表と研修チェックリストによるレクチャーを行った。研修中は指導係による個人指導下に処置介助を行った。研修前後に内視鏡検査についての1)印象と2)不安の2点についてアンケート調査を行った。研修後に3)研修期間、4)研修内容の理解、5)今後の処置介助が可能かの3点について追加でアンケート調査を行った。【結果】1)研修前は、とても大変そう1名、大変そう2名であった。研修後は、とても大変だ1名、大変だ1名、普通1名であった。2)研修前はスコープの取り扱い3名、研修後は処置具の取り扱い3名、医師とのコミュニケーション2名であった。研修後は処置具の取り扱い3名、検体の取り扱い1名、患者への声がけ1名であった。3)丁度いい2名、少し短い1名であった。4)おおむね理解できた1名、とてもよく理解できた2名であった。5)はい3名であった。【結語】研修により全員が設定した目標に到達し、適切な指導が行えたと考えられた。当院で行った内視鏡処置介助研修について考察し報告する。
  • 後藤 絵里, 久保 公利, 加藤 元嗣
    2021 年 4 巻 1 号 p. 56-59
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/01
    ジャーナル フリー
    【背景】近年の消化器内視鏡手技の高度化、高齢者や抗血栓薬服用者の増加により、内視鏡室におけるリスクマネージメントは重要視されている。【目的】当院のインシデントレポートから内視鏡室における安全管理体制を検証すること。【対象と方法】2016年4月から2020年7月までの30件について後方視的に検討した。【結果】報告者は看護師が25件(83%)、医師が4件(13%)、看護助手1件(3%)であった。要因は検体管理7件(23%)、薬剤関連7件(23%)、偶発症4件(13%)、機器関連4件(13%)、その他8件(27%)であった。レベル別には3b:2件、3a:2件、2:7件、1:12件、0:7件であった。レベル3bの2件は内視鏡手技による偶発症であった。【結語】検体管理、薬剤関連で46%と多いことが明らかとなった。内視鏡に関わるインシデントは医師、内視鏡技師、看護師を含むスタッフ全体で取り組む必要があり、当院で行った対策を考察し報告する。
  • 東 学, 赤川 まい, 森山 貴史, 星 直樹, 久保 公利, 木村 伯子, 大原 正範
    2021 年 4 巻 1 号 p. 60-63
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/01
    ジャーナル フリー
    【緒言】超音波内視鏡下穿刺吸引法(EUS-FNA)の普及に伴い、膵病変からの積極的な検体採取が可能となった。同時に、On-site cytologyが各施設で導入され、診断精度向上を目指した様々な工夫による検体処理方法が報告されている。当院では、2014年より2020年4月まで、83症例の膵EUS-FNAを実施し、標本作製の工夫を重ねてきた。今回、Liquid Based Cytology(LBC)を活用した標本作製法の有用性を報告する。 【対象と方法】2019年4月から2020年3月までに、同一細胞検査士により検体処理を行った膵EUS-FNA 18症例について後方視的に検討した。 【標本作製法】Liquid Based Cytology(LBC)用固定液であるCytoRichTMRED®(CR)を用い、①組織包埋に適さない微小白色組織片の圧挫、②吐出血液成分の塗沫、③穿刺針内洗浄液、④CRによる採取組織洗浄液の4種類のPapanicolaou標本を作製した。 【診断成績】18例中、浸潤性腺管癌16例、IPMA1例、NEC1例と病理診断され、このうち細胞診により異型または悪性を示唆した症例は17例(94.4%)で、検体不適例はなかった。 【考察及び結語】LBC法の活用により、出血性検体でも溶血力の強いCRで処理するため、細胞成分に富む白色糸状組織の肉眼的判別が容易となり、On-siteでの迅速細胞診を行わずとも、良質な細胞診標本及び組織成分を確保でき確定診断を得ることができる。また、乾燥変性の少ない良好な細胞診標本を得ることが可能となった。
  • 片桐 奈津子, 曽我 理, 山村 二三江, 中村 沙織, 加藤 元嗣
    2021 年 4 巻 1 号 p. 64-65
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/01
    ジャーナル フリー
    【はじめに】平成30年度の診療報酬改定で、療養・就労両立支援加算が明記された。しかし、当院では就労支援の具体的な取り組みがなされていなかった。日頃の相談業務において、既に退職した患者から金銭的な相談に応じることも少なくなかった。そこで、当院でも治療と仕事の両立支援を展開出来る体制づくりを始めた。 【方法】令和1年12月10日療養・就労両立支援チームを発足。(以下就労支援チーム)その内、MSWと社会保険労務士が両立支援コーディネーターの研修を受講。がん患者に対象を絞り就労支援の取り組みを開始した。リーフレット・ポスターを作成し院内へ周知。予定入院患者には、入退院支援センターにて就労の有無を確認し就労者には一律リーフレットを配布。がん告知及び抗がん剤治療(入院外来問わず)のタイミングで、就労支援チームの看護師がリーフレットを配布。 【結果】令和1年12月10日以降、相談者が5名。内、加算対象者は1名。主治医意見書を用いて事業場とやり取りした患者が1名。当院の雇用に繋がった患者が1名。看護助手で雇用し現在定着している。尚、相談内容は、求職相談が3件、就労継続相談が2件であった。 【考察】加算対象者は1名だったが、支援を求めている患者は多い。令和2年度の診療報酬改定に伴い、支援対象者の拡大とより一層の周知が必要。患者の中には、治療が始まったのちに就労や金銭的不安を抱える者もいる。患者が必要とするタイミングでアプローチ出来る方法を検討したい。 また、求職相談も少なくないため、ハローワークとの連携支援が今後の課題である。
  • 2021 年 4 巻 1 号 p. 0-
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/01
    ジャーナル フリー
  • 2021 年 4 巻 1 号 p. 66-
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/01
    ジャーナル フリー
  • 加藤 元嗣, 中田 智明, 森下 清文, 恩村 宏樹, 平山 繁樹, 光銭 健三, 大原 正範, 山城 雅明, 木村 聡元, 上原 浩文, ...
    2021 年 4 巻 1 号 p. 70-
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/01
    ジャーナル フリー
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