道南医学会ジャーナル
Online ISSN : 2433-667X
腸管嚢胞性気腫症の2例
久保 公利米谷 則重松田 宗一郎津田 桃子水島 健加藤 元嗣
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2021 年 4 巻 1 号 p. 31-37

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抄録

【症例】81歳、男性【主訴】嘔吐、下痢【現病歴】2020年5月15日に経皮内視鏡的胃瘻造設術(PEG)を施行した。6月18日に嘔吐と水様性下痢(7回)を認め、翌日に近医を受診した。CTで腹腔内free airと左上腹部の空腸に壁内気腫を認めたために、消化管穿孔疑いで当科を紹介受診した。【既往歴】反復性脳梗塞(2019年)、外傷性くも膜下出血(2019年)、胸部大動脈瘤(2017年)、直腸癌(2015年)【経過】来院時に発熱(37.0℃)と血液検査で炎症反応の上昇(WBC 9.1× 109/L、CRP 6.33 mg/dL)を認めたが、腹部に圧痛は認めず腹膜炎は否定的であった。上部消化管内視鏡検査(EGD)で胃瘻のトラブルは認めず,胃瘻からのガストロ造影検査で腹腔内への造影剤の漏れは認めなかった。以上から腸管嚢胞性気腫症(PCI)の診断で入院し、絶食点滴による保存的加療を行った。入院11日目に施行したCTで腹腔内free airと壁内気腫の消失を確認した。経腸栄養を再開しPCIの再燃がないことから入院34日目に退院した。【結語】保存的加療で軽快したPCIの1例を経験したので報告する。

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