2021 年 4 巻 1 号 p. 38-41
巨大肺嚢胞に対する手術術式は、嚢胞壁を切開し嚢胞底の気管支開口部を閉鎖した後、嚢胞壁を折りたたむように被覆縫着するNaclerio-Langer法が有名である。今回、この方法を少し変えて手術を行い、良好な経過を得られたので報告する。症例は40代男性で、左胸腔の大半を占める巨大肺嚢胞に対して、有症状で嚢胞が増大傾向を示したため、胸腔鏡手術を施行した。巨大肺嚢胞の嚢胞壁を切開し可及的に切除後、嚢胞底にポリグリコール酸(polyglycolic acid;PGA)シート+フィブリン糊を貼った。嚢胞壁を連続縫合し、その上にPGAシート+フィブリン糊を貼って補強した。術後リークなく経過し、呼吸機能も改善した。今回施行した術式は、肺実質の切離を伴わず、手技的にも比較的容易であり、有用な方法と考えられた。