道南医学会ジャーナル
Online ISSN : 2433-667X
2次救急輪番日における緊急内視鏡検査の現状
-内視鏡技師の視点から-
後藤 絵理久保 公利加藤 元嗣
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2022 年 5 巻 1 号 p. 77-80

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抄録

【背景】2次救急輪番日に消化器系疾患で緊急検査が必要な場合、待機の消化器科医師と内視鏡技師の2人により検査や処置が行われている。2次救急輪番日の待機が可能になるのは、通常内視鏡検査が一通り習得してからである。安全にかつ適切な介助を行うためには、その内訳や処置内容を理解し、頻度の多いものについては日常から意識して習熟しておくことが必要である。 【目的】2次救急輪番日における緊急内視鏡検査の現状について検証し、早期から習熟できると良い検査や処置を明らかにする。 【対象と方法】2016年4月から2021年6月までに報告された検査レポート206件206例を対象として、1)緊急検査の内訳、2)上部消化管内視鏡検査の内訳と処置内容、3)下部消化管内視鏡検査の内訳と処置内容、4)内視鏡的逆行性胆管膵管造影(以下ERCP)の内訳と処置内容、5)経皮的胆道ドレナージの内訳と処置内容について検証した。 【結果】206例のうち、男性は116例、女性は90例で、平均年齢は72.9歳であった。1)上部消化管内視鏡検査133例、ERCP43例、下部消化管内視鏡検査22例、経皮的胆道ドレナージ8例であった。2)上部消化管出血疑い84例(止血処置43例)、イレウス管26例、アニサキス症疑い12例(虫体摘出5例)、食道異物疑い7例(異物除去6例)、その他4例であった。3)下部消化管出血疑い14例(止血処置6例)、S状結腸捻転症5例(内視鏡的捻転解除成功4例)、イレウス管3例であった。4)胆管挿管成功42例で胆管ステント留置40例(EBS34例、ENBD4例、SEMS2例)、内視鏡的胆管結石除去術2例であった。5)PTGBD5例、PTCD3例であった。 【結語】内視鏡室へ異動してきた際、2次救急輪番日の待機を見据えて通常内視鏡検査の他に、早期から緊急検査に多い消化管出血(特に上部消化管出血)と胆道ドレナージ術の学習と習熟に努める必要がある。

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