道南医学会ジャーナル
Online ISSN : 2433-667X
経鼻内視鏡前処置における鼻息鏡を用いた挿入鼻腔選択方法の検討
佐藤 千代子福原 直美阿部 千里後藤 絵理松本 健太郎成田 友子渡辺 亮介東野 真幸津田 桃子久保 公利加藤 元嗣
著者情報
ジャーナル フリー

2022 年 5 巻 1 号 p. 81-83

詳細
抄録

【背景】当院では経鼻内視鏡前処置の挿入鼻腔の選択を患者の自覚による通気性の確認で行っていた。しかし時々麻酔用スティックや内視鏡の入れ替え、自覚のはっきりしない患者や疾患により自覚を伝えられない患者もいた。 【目的】経鼻内視鏡の際に、他覚的に挿入鼻腔を選択する方法として鼻息鏡を使用して挿入鼻腔を選択する方法(鼻息鏡法)と従来法を比較してスティックや内視鏡の挿入鼻腔の入れ替えを減らすことができるかを検討する。 【方法】鼻息鏡法として2020年7月~12月に経鼻内視鏡を行った440名に対し調査票に鼻息鏡の結果、本人の自覚、スティックや内視鏡の挿入鼻腔、入れ替えやスティック挿入時の抵抗の有無を記入した。従来法として2019年11月~2020年4月の498名の記録用紙から同じ項目を後ろ向きに調査した。鼻息鏡法は鼻息鏡で両鼻同時に息を吐き出し曇りの多い鼻腔に麻酔を行った。 【結果】自覚と鼻息鏡の一致率は66.1%であった。自覚では左が45.5%と多く、自覚が右の場合の一致率が84.4%と高かった。鼻息鏡では左右差なしが40.2%と多く、その場合自覚では左が63.2%と多く、一致率が悪かった。鼻息鏡法ではスティック挿入の抵抗あり9.7%、スティック入れ替え5.9%、内視鏡入れ替え1.8%、経口への変更が0.7%であった。さらにスティック挿入の抵抗があった場合にスティックを入れ替えると内視鏡の入れ替えが8%であったが、スティックの入れ替えを行わないと内視鏡の入れ替えは33%と高くなり有意差を認めた。 【考察】鼻息鏡法は従来法と比べスティック挿入の抵抗感を減らすことができた。自覚と鼻息鏡の一致率は高くないため鼻息鏡は自覚より鼻腔の広い方を選択できると思われる。また鼻息鏡法でスティック挿入に抵抗感がある場合には、挿入鼻腔を変更すると内視鏡の入れ替え率を減らすことができることも判明した。 【結論】経鼻麻酔における挿入鼻腔の選択に鼻息鏡の使用は有用である。

著者関連情報
© 2022 道南医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top