抄録
【背景】気管支喘息通院患者の重症度は約半数が重症持続型である。中には、高用量のICS/LABA、LAMA、経口ステロイドや生物学的製剤を用いてもコントロール不良な患者も存在する。また重症気管支喘息には、EGPA やABPM など治療困難な喘息も含まれる。今回我々は、ニューモシスチス肺炎によりコントロール不良になったと考えられた症例を経験したため報告する。
【症例】87歳、女性。既往に緑内障があった。2007年より気管支喘息で通院していた。発作により頻回に緊急受診や入院、ステロイドburst 投与が行われていた。2020年5月よりフルチカゾンフランカルボン酸/ビランテロール吸入、モンテルカスト、レボセチリジン、プレドニゾロン5mg に加え、メポリズマブを開始したところ、コントロールは良好になった。しかし、2021年4月より、咳嗽を中心とした気管支喘息の増悪、微熱の持続のため入院した。CT で気管支肺炎像を認めたため、一般細菌感染による増悪と診断し、抗菌薬、メチルプレドニゾロンで治療を開始した。しかし微熱が軽快せず、CT を再検したところ、すりガラス陰影を認め、喀痰のニューモシスチスDNAPCR が陽性だったため、ニューモシスチス肺炎を診断した。スルファメトキサゾール・トリメトプリムによる治療を開始したところ、微熱は消失し、喘息コントロールも改善した。
【考察】ニューモシスチス肺炎の発症要因にプレドニゾロンの長期投与が考えられた。また、ニューモシスチス感染抑制には好酸球の関与が示唆されており、生物学的製剤使用による好酸球の抑制がニューモシスチス肺炎発症に関わった可能性があった。
【結語】生物学的製剤、ステロイドを用いても改善に乏しい重症気管支喘息の増悪の原因として、ニューモシスチス肺炎を鑑別に挙げる必要がある。