道南医学会ジャーナル
Online ISSN : 2433-667X
重症心身障がい者病棟における骨折予防の取り組み
中納 丈夫佐藤 千草佐藤 とし子加藤 元嗣大原 正範米澤 一也柴田 真夕
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2022 年 5 巻 1 号 p. 40-41

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抄録

【はじめに】重症心身障がい者は、長期臥床による廃用や嚥下障害による栄養不足、日光浴の不足や抗てんかん薬によるビタミンD吸収阻害等により骨密度の低下があり、骨折事故が生じやすい。当院入院中の患者52名に骨密度測定を行ったところ、87%に骨粗鬆症がみられた。また、患者9名に骨折の既往があり、一人で複数の骨折既往のある患者や、日常生活援助の中で軽微な力で骨折するような、リスクの高い患者もいる。ひとたび骨折すると、OPの適応とならず保存的治療を余儀なくされることも多い。骨の生成にはビタミンDが不可欠で、食事からの摂取の他に、日光浴による紫外線照射が有用であると言われている。今年度、当病棟で骨折予防の取り組みとして、内服薬投与と併せて日光浴に取り組んだので報告する。 【対象】重症心身障がい者病棟入院患者50名【方法】晴れた日の10時~11時半にベッドまたは車椅子・座位にて1回10分~30分程度の日光浴を行う。適宜午後からの日光浴を行う。肌の露出は両手・両足とし、できるだけ露出を多くすることとした。日光浴前後に水分補給を行い熱中症に注意した。 【まとめ】前病院では、日照時間が函館より短く、日光浴は年に5~6回程度にとどまっていたが、函館に来てからは、初夏の時期に10日前後の日光浴ができた。しかし、北海道は1年の中で太陽光を浴びることのできる期間や時間が、他の地域に比べて短いと言われているため、今後も計画的に日光浴を行い骨折予防に努めたい。

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