2022 年 5 巻 1 号 p. 42-48
【はじめに】重症心身障がい者に対する日常の治療・介護において骨の気弱性による骨折が危惧されている。当院では今年3月にⅩ線テレビ装置の更新に伴い、その搭載ソフトSmartBMD により骨密度測定が可能となった。4月から骨密度測定の検査を開始し、昨年8月から運用を開始した重症心身障がい者病棟に入院する患者の骨密度測定を行い、若干の知見を得たので報告する。 【対象】重症心身障がい者病棟の患者52名について測定・解析を行った。 【検討項目】①SmartBMD について② QA ファントムを用いたQA解析時の測定値の精度③実際の重症心身障がい者の骨密度測定④重症心身障がい者の骨密度測定における課題 【結果】①骨密度専用装置と比較して測定時間が約10秒と短く、また拡大率も低いため空間分解能が高く測定精度が期待できた② QA ファントムを用いたQA解析時の測定値は変動係数も小さく平均値もファントムの骨密度値とほぼ同じ値であった。③測定の際に患者の体動が問題となったが測定時間が約10秒と短いため、測定時の息止めはできなかったが53名中52名測定を行うことができた。④健常者と比して、骨の湾曲、変形などが多くみられ、解析時の測定領域の設定に苦慮した。 【考察】健常者と同じ体位をとることが難しく解析も骨変形で正規の位置に測定領域を設定できない患者もいたが、参考値としてデータは提供できたと考える。今後は骨の湾曲、変形にも対応したソフトの改良が望まれる。