道南医学会ジャーナル
Online ISSN : 2433-667X
リハビリテーション養成校における医療ICT教育の取り組みと効果
古館 裕大成田 大一千葉 馨浜 克己三上 貞芳石田 裕二本間 哲
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2022 年 5 巻 1 号 p. 54-57

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抄録

【背景と目的】リハビリテーションロボットや遠隔リハを支える、治療者や患者が情報をやり取りするための技術(医療ICT)は、超少子高齢化社会において重要な役割を果たす。医療ICT の導入がリハの領域で進んでいる一方、在学時に情報処理を基盤とした技術に触れるリハの養成校は存在していない。この事から、本学院では、医療ICT の基礎を成す技術の習得を目的とした教育を、1、2年次に渡って行っている。その1つに、身体の動きを測定するセンサの使い方を学び、小学生向けのマイコンを用いて治療や評価の役に立つシステムを提案する科目(2年前期:リハビリテーション工学演習)を設けている。本報告では、学生がこの科目によって、医療ICT に関わる知識と技術をどの程度習得できたかについて述べる。 【対象と方法】リハビリテーション工学演習を履修した学生80名を対象とした。医療ICT の理解度については、①技術の選定、②技術の評価の2つに分類し、横断的なアンケート調査を行った。①技術の選定では、「対象疾患を考慮したセンサの選定(質問1-1)」「患者の回復度とセンサデータとの対応関係(質問1-2)」の2つを調査し、②技術の評価では、「技術の利点と欠点(質問2-1)」「技術の限界(質問2-2)」の2つを調査した。解答は0から10の中から、理解度の大きさに合った数字を選ぶものとし、中央値と四分位範囲で要約した。加えて、各分類内の項目間で対応関係を検討するため、spearman の順位相関係数を求めた。 【結果】アンケートの有効回答数は60であった。質問1-1は7(5.8-8.3)、質問1-2は7(6-8)となり、順位相関係数は0.85であった。また、質問2-1は8(6-9)、質問2-2は7(6-8.3)となり、順位相関係数は0.76であった。 【結論】疾患を十分に理解した上で、適切な技術を提案できている可能性が示唆された。この事から、医療ICT に関わる知識と技術の習得を促進できたことが考えられる。

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