道南医学会ジャーナル
Online ISSN : 2433-667X
がんゲノムプロファイリング検査で同定されたミスセンス変異の解析
池田 健
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2024 年 7 巻 1 号 p. 45-48

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抄録
【はじめに】がんゲノムプロファイリング検査(CGP,がん遺伝子パネル検査)では、ミスセンス変異、ナンセンス変異、遺伝子増幅・欠失、遺伝子再構成など様々な遺伝子異常が検出される。そのうちミスセンス変異に注目し、公開データベースClinVarをレファレンスとして、変異の種類、出現頻度、有害性等を解析した。【方法】2019年11月から2023年7月までに当院で実施されたCGPは132症例であった。ミスセンス変異は一塩基置換のみを対象とし、二塩基あるいは三塩基置換による変異は対象外とした。FoundationOne DxとNCCオンコパネルがカバーする320遺伝子について、ClinVarに登録済みのミスセンス変異の情報をダウンロードした(129,111個,2023年2月10日)。ClinVar の有害性評価のうち、BenignとLikely benignを無害、Likely pathogenicとPathogenicを有害とした。臨床的エビデンスの不十分な変異や意見の分かれる変異はそれぞれVUS(Variants of Unknown Significance)及びCIP(Conflicting interpretations of pathogenicity)と評価されているが、まとめてVUSとした。【結果】1,166個のミスセンス変異が同定され、全遺伝子変異・異常(1,969個)の59.2%を占めた。最も多く認められた変異はKRAS G12Dで17回出現した。遺伝子別ではTP53が60回と最多であった。ClinVarに登録済み変異は527個(363種類)、全ミスセンス変異の45.2%であった。ClinVarでの評価では、無害109個(登録済み変異のうち20.7%)、 VUS 288個(同54.6%)、有害130個(同24.7%,全ミスセンス変異の11.1%)に分類された。ClinVarに未登録あるいはVUSのため有害性評価の出来ない変異は927個、全ミスセンス変異の79.5%を占めた。【考察】ある遺伝子変異を治療や遺伝学的アプローチに活かすためには、その変異の有害性の評価が必須である。ところが現時点では、CGPで同定されるミスセンス変異の約80%は有害性が確定できない。ミスセンス変異の有害性を予測するコンピュータ・ツールが多数存在し、補助的ツールとして有用と考えられる。
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