道南医学会ジャーナル
Online ISSN : 2433-667X
函館市胃がん内視鏡検診の現状
久保 公利加藤 元嗣久保田 達也紺野 潤渡邉 雅男共同発表者 函館消化器病懇談会
著者情報
ジャーナル フリー

2024 年 7 巻 1 号 p. 64-72

詳細
抄録
【背景】胃内視鏡検診による胃がん死亡率減少効果は国内から報告されている。函館市は函館市医師会健診検査センターに委託して、2021年4月に“函館市胃がん内視鏡検診”を導入した。対象者は函館市に住民票がある50歳以上の者で、胃疾患に関連する症状がない者である。特徴は胃がんの二次予防(早期診断・早期治療)に加えて、一次予防(ピロリ感染診断)にも対応していることである。【目的】胃がん内視鏡検診導入後の現状について検証すること。【対象】2021年4月から2023年6月までに実施した458例を対象として、1)実施施設と症例数、2)がん病変、3)ピロリ感染診断、4)偶発症について検証した。【結果】458例のうち,男性は156例,女性は302例で,平均年齢は65.2歳であった。1)国立病院機構函館病院 134例、函館中央病院 81例、一色クリニック 54例、市立函館病院 46例、函館五稜郭病院 39例、函館新都市病院 35例、弥生坂内科クリニック25例、久保田内科医院 17例、千葉医院 17例、亀田花園医院 6例、函館市医師会病院 4例であった。2)胃がん 6例、十二指腸がん 1例であった。3)現感染 69例、既感染 176例、未感染 199例、鑑別困難 14例であった。4)鼻出血 7例、マロリーワイス症候群 2例、胃粘膜出血 2例であった。【結語】胃がん内視鏡検診により悪性疾患7例が早期発見された。またピロリ感染診断を行うことにより現感染者を速やかに除菌治療に誘導することができた。
著者関連情報
© 2024 道南医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top