2025 年 8 巻 1 号 p. 71-74
【背景】 腰椎内視鏡手術は術視野が狭く手技が煩雑であるため、術前の正確な形態評価が重要になる。手術支援画像としてCT画像とMRI画像を重ねて表示するフュージョン画像が用いられるが、各検査時の撮影体位の違いによる位置誤差(misregistration)が課題として挙げられる。一方、放射線治療分野では異なるモダリティの画像を比較参照する手段として、片方の画像を変形させる非剛体位置合わせ処理(deformable image registration : DIR)が用いられている。DIRの活用により位置合わせ精度の高いCT/MRフュージョン画像を作成することができれば、椎体周辺構造の立体把握に貢献できると考える。 【目的】 腰椎CT/MRIフュージョン画像作成におけるDIRの有用性と課題を検討する。 【結果】 DIRを用いて作成したCT/MRIフュージョン画像は、従来の剛体位置合わせ(rigid image registration)に比べて重ね合わせの精度が改善されていた。 【考察】 CT・MRI撮影時の体位のずれは不可避であるが、DIRの適用により高精度なCT/MRフュージョン画像を提示できれば術前形態評価の一助になる。一方で被変形画像(MRI)と基準画像(CT)の乖離が大きい場合や広範囲を対象にDIRを適用した場合には構造が大きく歪む現象が見られた。臨床応用においては関心領域を1~2椎体に限定した処理が適当だと考える。 【結語】 DIRは腰椎手術支援画像作成時の位置合わせ精度向上に有用であることが示唆された。