2026 年 9 巻 1 号 p. 49-51
【はじめに】抗がん剤治療に伴う脱毛は、患者にとって身体的・心理的負担が大きく、治療継続に影響を及ぼすことがある。市立函館病院(以下、当院)では、がん薬物療法件数が年間1万件を超えており、特に乳がん・婦人科がん患者の多くが高度脱毛リスクのある抗がん剤治療を受けている。これまで脱毛に関する情報提供が十分ではなく、患者が不安や混乱を抱えるケースが多く見受けられた。そこで、「脱毛ケアのフローチャート」を作成し外来看護師と支援体制を構築したので、報告する。
【活動の概要】抗がん剤の脱毛リスク分類(日本がんサポーティブケア学会 2021)に則り、「脱毛ケアのフローチャート」を作成し、2024年9月より乳腺・婦人科外来と共有した。医師から初回治療やレジメン変更の説明に続けて、外来看護師から脱毛時期やケア方法について情報提供を行った。また、該当患者の入院にあたっては、がん薬物療法看護認定看護師(以下、認定看護師)と情報共有を行い、認定看護師が病室に訪問して患者や家族からの要望に対応した。
【成果】支援体制の整備により、脱毛リスクに応じた情報を治療開始前から提供でき、乳がん・婦人科がん初回治療患者全員への介入が可能となった。また、外来看護師と認定看護師の連携により、脱毛ケアに加え、治療に伴う不安へのケアなど、多面的な支援が実現した。
【考察】外来看護師と密に連携し、フローチャートを共有することで、治療開始前からの支援が可能となった。アピアランスケアは、外見の変化に起因するがん患者の苦痛を、医学的、整容的、心理社会的な様々な支援を用いて軽減するケアである。脱毛だからと単にウイッグを勧めるのではなく、患者の気がかりや大切にしていることに耳を傾け、 苦痛の本質を理解することが重要であるといえる。今後は構築した支援体制について、患者の声を収集し、より個別性の高いケアの提供を目指してきたい。