抄録
最近MASAは接着性プライマーとしてレジン修復システムに用いられている。MASAの生物学的活性をモニターするため,アルブミン及びコラーゲン存在下ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)/MASAリポソーム系のNMRケミカルシフト(δH)及びDSC相転移温度(Tm)を研究した。その結果,蛋白の存在はリポソームのδH及びTmに変化を与えなかった。またMASAとりん脂質(DPPC)との相互作用も小さいことが明らかになった。MASAの溶血性はボンデング剤としては広く用いられているりん酸モノマー(MDP)に比べ著しく小さかった。以上の所見はMASAプライマーは象牙質-歯髄システムに対して生体適合性があることを示唆した。