顎関節鏡視下手術は,従来の種々の画像診断法で観察できなかった観察内病態を直接鏡視下にて診断が可能なことと,診断直後に手術が行える理由により普及しつつある。
しかし狭小で複雑な顎関節腔内への関節鏡や手術器具の挿入操作は容易ではなく,複雑な器具の操作と高度の熟練が要求される。そのため,手術の成否は盲目的操作をさけ,明るく広い視野の獲得と,手術器具の到達が確実で安全に行えることが必要である。
このため我々はこれらの問題を解決し,また手術操作を簡略化するために,口径の大きなスコープ,多数穿刺のためのスコープの固定器具,より狭小な下関節腔への確実な到達のためのステップ・カニュレーション穿刺法と関節円板縫合用の2チャンネル・カニューレといった一連の手術器具,およびその操作法をシステム化した。
我々の37関節の鏡視下手術の経験から,技術的問題点は改善され,手術時間も大幅に短縮した。特に困難な下関節腔からの円板牽引縫合法については,その効果と操作性に大きな改善をみることができた。
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