Dental Materials Journal
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11 巻, 1 号
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  • 米山 隆之, 土居 寿, 浜中 人士, 岡本 安生, 茂木 正邦, 三浦 不二夫
    1992 年 11 巻 1 号 p. 1-10,111
    発行日: 1992/06/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    歯科矯正臨床において広く用いられているNi-Ti合金アーチワイヤーの特性を明らかにする目的で,20種の市販ワイヤーについて,曲げ特性および熱量変化を定量的に検討した。その結果,2点支持中央荷重法の抗曲試験による荷重-たわみ曲線に著しい相違を認めた。超弾性を発揮したワイヤーでは,除荷過程において荷重の変化が小さい領域が認められたのに対し,荷重とたわみが比例的に変化し,良好なスプリング特性しか認められないワイヤーも存在した。示差走査熱量計によって熱量変化の測定を行った結果,いくつかのワイヤーでは,体温で超弾性を発揮するためには変態点が不適切であった。さらに,熱量変化は超弾性と密接に関連している知見を得た。すなわち,超弾性を示すワイヤーのDSC曲線には明瞭な熱量変化のピークが存在したのに対し,超弾性を示さないワイヤーではピークが認められなかった。
  • 菅原 明喜, 西山 實, 草間 薫, 茂呂 周, 西村 敏, 工藤 逸郎, Laurence C. CHOW, 高木 章三
    1992 年 11 巻 1 号 p. 11-16,111
    発行日: 1992/06/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    Calcium Phosphate Cement (CPC)は,水の介在下において常温で短時間のうちにHydroxyapatite (HAp)に転化することが知られており,臨床的な報告もいくつかなられている。今回は,根管充填用に開発された数種のCPCペーストの生体親和性についてラットを用いた組織反応試験を行い,市販根管充填材料と比較することによって検討を行った。
    その結果,CPCをベースとした各種試作根管充填材料は,市販のものと比較して極めて良好な生体親和性を示し,HApそのものと比較しても組織反応における明確な違いはなかった。今回使用した市販の根管充填材料は,既に臨床で広く用いられ充分な評価を得ているものばかりなので,本材料も臨床に応用し得るものであることが示唆された。
  • 藤沢 盛一郎, 菰田 泰夫, 門磨 義則
    1992 年 11 巻 1 号 p. 17-25,112
    発行日: 1992/06/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    最近MASAは接着性プライマーとしてレジン修復システムに用いられている。MASAの生物学的活性をモニターするため,アルブミン及びコラーゲン存在下ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)/MASAリポソーム系のNMRケミカルシフト(δH)及びDSC相転移温度(Tm)を研究した。その結果,蛋白の存在はリポソームのδH及びTmに変化を与えなかった。またMASAとりん脂質(DPPC)との相互作用も小さいことが明らかになった。MASAの溶血性はボンデング剤としては広く用いられているりん酸モノマー(MDP)に比べ著しく小さかった。以上の所見はMASAプライマーは象牙質-歯髄システムに対して生体適合性があることを示唆した。
  • 韓 臨麟, 岡本 明, 岩久 正明
    1992 年 11 巻 1 号 p. 26-37,112
    発行日: 1992/06/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    本研究では,コンポジットレジン修復時に生ずるエナメル質微小亀裂を,歯牙表層及び縦断面において,実体顕微鏡及びSEMを用いて観察した。さらに,エナメル質微小亀裂の発生に及ぼす臨床的因子,すなわち,重合方式,窩縁形態及び研磨時期の影響について検討した。
    エナメル質微小亀裂は,ベベルを付与せず充填直後に研磨を行った1級及び5級の光重合型コンポジットレジン修復物において,全例に認められた。エナメル質微小亀裂は,窩洞辺縁にほぼ平行で,窩洞辺縁より0.01∼0.3mm離れた部位に観察された。エナメル質微小亀裂の発生は,ノン・ベベル窩洞で充填後10分あるいは24時間後に研磨を行った群において,光重合型のほうが化学重合よりも著しかった。エナメル質微小亀裂の発生は,ベベルの付与及び研磨時期を遅らせることにより減少した。
  • 咬合を考慮したクラウン形状設計のためのCADについて
    木村 博, 荘村 泰治, 高橋 純造
    1992 年 11 巻 1 号 p. 38-44,112
    発行日: 1992/06/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    6臼歯のクラウン補綴のための形状設計のCAD化につき研究した。6にクラウン用の支台歯形成がされている,5∼7臼歯の石こう模型と,修復用に用いる6完全歯の計測を行った。
    クラウンデータは6の支台歯に適合し5∼7の隣接歯との調整を行った。その後,6のデータの座標は6支台歯のそれに変換した。適合したクラウンの端部は,6支台歯の辺縁と結合した。
    さらに,対合歯との咬合関係をFGP法を応用して調整した。FGPは,バイトワックスに記録し計測した。
  • 金 芝娟, 高橋 好文, 紀藤 政司, 森本 凱也, 長谷川 二郎
    1992 年 11 巻 1 号 p. 45-58,113
    発行日: 1992/06/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    アマルガム修復物の充填初期における辺縁漏洩を定量的に観察するために,分光蛍光法によりローダミンBをトレーサーとして,また被修復材料としてヒト歯牙の代わりにマシナブルセラミックを用い,熱サイクルを加えた浸漬条件下で検討を行った。ローダミンBは容易に窩壁とアマルガムの隙間を通過するため,トレーサーとして有用であるとともに,きわめて低濃度の測定が可能であった。アマルガム修復物からの充填初期における辺縁漏洩は,低銅型球状,単一組成高銅型球状および混合組成高銅型球状では浸漬1日後において著しい辺縁漏洩が観察されたが,低銅型削片状,単一組成高銅型削片状および混合組成高銅型で球状と削片状の混合型は少なかった。浸漬10日後の辺縁漏洩はアマルガム合金粒子の形状により異なり,低銅型および高銅型とも削片状合金は球状合金よりも辺縁漏洩は少なく,特に高銅型で球状と削片状の混合組成を有する合金が最も少ない辺縁漏洩を示した。
  • 西村 文夫, 中村 英雄, 高橋 英和, 高本 敏政
    1992 年 11 巻 1 号 p. 59-69,113
    発行日: 1992/06/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    埋没材に導電性を付与し,高周波誘導加熱によって発熱する埋没材の開発を試み,高周波ろう付け用埋没材としての適性を検討した。
    マグネシアクリンカーを耐熱材とし,結合材として硬質石膏5mass%を配合したものを基本組成とし,これにCo, Fe, Niの金属粉末を10∼20%添加し,誘導加熱を行ったときの埋没材と被ろう付け金属の時間-温度曲線,埋没材の温度-膨張曲線などを検討した結果,10mass% Co添加が最も有効であり,埋没試片の予熱なしで埋没材温度は約40秒の誘導加熱により900°Cに達した。熱膨張曲線は直線的に上昇し,真空加熱時に1000°Cで1.25%の膨張率を示した。このろう付け用埋没材を用い,洋銀を銀ろうで真空誘導ろう付けしたときの寸法変化を検討した結果,金属粉末未添加の埋没材に比し,寸法変化の少ないことが認められ,高周波ろう付け用埋没材として有効であると判定された。
  • 4-META/MMA-TBBレジンと牛及び,ヒト象牙質界面の分析
    尾崎 守, 鈴木 正子, 伊藤 和雄, 和久本 貞雄, 久光 久
    1992 年 11 巻 1 号 p. 70-76,114
    発行日: 1992/06/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    前報で4-MET/MMA-TBBレジンとハイドロキシアパタイト,牛歯エナメル質との接着界面の研究を行ったが,今回は続報として4-METと牛及び,ヒト象牙質間の化学結合の可能性を,ラマンスペクトル測定により検討した。市販モノマー液中から体積量2/3のMMAを揮発して得た濃縮モノマー液を10-3処理した牛及び,ヒトの象牙質に塗布したことろ,両者共に塩の形成が認められた。この塩は,前回我々が報告したハイドロキシアパタイト及び,牛歯エナメル質表面で,4-METが形成した塩と同様の過程で形成されたものと考えられる。一方,象牙質中の有機成分と4-METの間で化学変化が起こったことを示唆するバンドは認められなかった。
  • 勝野 和之, 真鍋 厚史, 長谷川 篤司, 中山 貞夫, 伊藤 和雄, 和久本 貞雄, 久光 久
    1992 年 11 巻 1 号 p. 77-82,114
    発行日: 1992/06/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    象牙質の接着に不可欠な試作デンチンプライマーであるGM, HEMA, EM,を用いてモルモットに対する免疫学的アレルギー反応を検討した。その結果,即時型アレルギー反応はいずれのプライマーおよびこれらの基本的化学構造物であるメタクリル酸においても観察されなかった。また,デンチンプライマーとメタクリル酸を用いモルモットの背部皮膚に長期間の反復塗布を行った。メタクリル酸では,塗布開始後18日で強い発赤,浮腫が認められた。GM, HEMA, EMでは,軽度の発赤を認めた。炎症が完全に消失した25日後からの再塗布試験においては7日間で18日後と同様の炎症が認められた。このことからメタクリル酸,GM, HEMA, EMの遅延型アレルギー発現の可能性が示唆された。皮内投与による局所刺激では,塗布試験より過酷な条件であることから,2時間後には水泡,7日後で痂皮を形成した。今回の実験結果により,試作デンチンプライマーの遅延型アレルギー反応(接触性皮膚炎)発現の可能性が示唆された。
  • 本田 武司, 下田 恒久, 右近 晋一, 住吉 周平
    1992 年 11 巻 1 号 p. 83-96,114
    発行日: 1992/06/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    顎関節鏡視下手術は,従来の種々の画像診断法で観察できなかった観察内病態を直接鏡視下にて診断が可能なことと,診断直後に手術が行える理由により普及しつつある。
    しかし狭小で複雑な顎関節腔内への関節鏡や手術器具の挿入操作は容易ではなく,複雑な器具の操作と高度の熟練が要求される。そのため,手術の成否は盲目的操作をさけ,明るく広い視野の獲得と,手術器具の到達が確実で安全に行えることが必要である。
    このため我々はこれらの問題を解決し,また手術操作を簡略化するために,口径の大きなスコープ,多数穿刺のためのスコープの固定器具,より狭小な下関節腔への確実な到達のためのステップ・カニュレーション穿刺法と関節円板縫合用の2チャンネル・カニューレといった一連の手術器具,およびその操作法をシステム化した。
    我々の37関節の鏡視下手術の経験から,技術的問題点は改善され,手術時間も大幅に短縮した。特に困難な下関節腔からの円板牽引縫合法については,その効果と操作性に大きな改善をみることができた。
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