抄録
Radial Crackの,水中及び大気中での,成長速度を測定することにより,炉冷,空冷した歯科焼付用歯冠色陶材の疲れ寿命を推定した.測定したCrackはVickers圧子を9.8Nの荷重で陶材表面に圧入して導入した.応力腐食係数nはcrack長さを5ヶ月まで測定して求めた。計算されたn値から,陶材の使用応力の評価を試みた.その結果,炉冷後,水中保存したガラス質及び長石系陶材の使用応力は,寿命が10年以上になるためには,その破壊強さの47,69%であると計算された.風冷強化(空冷)した陶材では,それぞれ58, 67%であった.以上のことから,風冷により導入された残留応力はガラス質陶材の使用寿命を伸ばすのには有効であるが,長石系陶材では有意な違いが生じないことが明らかになった.