抄録
各種歯科用アマルガムアロイの硬化特性を圧縮強さの経時的測定により考察した。A.D.A.規格No.1の方式によって作製された試片について測定をおこなったところ,強さの経時的な増加の傾向は,アロイの組成や粒状によって特徴のあることが分かった。即ち,粒状からいえば,球状アロイが,組成からいえば高銅型アロイが,それぞれ削片状アロイ,従来型アロイに比べてより短時間内に強さが大きくなり最大値に達した。高銅型アロイのうちでも単一組成型は強さの発現が短時間内に起こるものが多く,他のアロイに比べて1時間強さが特に大きくなったが,30日強さは必ずしも大きくはなく,硬化がより短時間内と進行し終了するものであることがわかった。前に報告した硬さの経時的変化と比較してみると,単一組成型高銅アロイの強さの増加は硬さの増加に比べてゆるやかで,硬く脆い材料であることが明らかとなった。