抄録
InとFeを総量1.5wt%添加した陶材焼付用金合金(85.5wt% Au)を1000°C, 1hr,大気中で酸化させ,卑金属成分の添加量を変えた場合の酸化層の構造変化をX線マイクロアナライザー,X線回折,反射電子回折で解明した。その結果,Inを0.15∼1.5wt%含む合金(1.35∼0wt% Fe)では,一様な膜厚の外部酸化層が形成されず,合金マトリックスが部分的に露出していることが明らかになった。In2O3, Fe2O3,未知の鉄酸化物の3つの酸化物が混合した状態で合金内部に析出した。その形態は,合金表面では針状に,また,合金内部では塊状に結晶粒界に析出した。この合金の内部酸化は,これらの析出した酸化物中を酸素イオンが拡散し,移動することによって進行すると考えられた。