抄録
現在市販されている18種類の光重合型コンポジットレジンについて,マウス由来の培養細胞に対する各材料の細胞毒性試験を行なった。細胞障害の程度は,細胞死滅を含む核濃染領域と細胞形質に萎縮がみられる領域の2領域にわけ,それぞれの領域の面積で表示した。また,各材料の硬化物中に含まれる未反応物の量を高速液体クロマトグラフを用いて定量し,未反応物量と細胞障害がみられる領域との関係を調べた。その結果,4種類の材料(パルフィークライト,プリズマフィル,プリズマフィルコンピュール,パイロフィルライトボイド)を除く他の材料間では,硬化体中の未反応物量と細胞障害を引き起こす領域との間に相関がみられ,未反応物の増加に伴って細胞障害を起こす領域が大きくなることがわかった。除外した4種類の材料については,硬化体中の未反応物量は少ないにもかかわらず,細胞障害を起こす領域が著しく大きくなっている。この理由については現在検討中である。