Dental Materials Journal
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共沈法により調整したZnO-Al2O3系粉末よりなるリン酸亜鉛セメント
CaとF添加の影響
伴 清治鶴田 昌三渡辺 徹男菊池 元彦長谷川 二郎
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1988 年 7 巻 1 号 p. 74-86,136

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抄録
CaとFを添加したZnO-Al2O3系粉末を均一共沈法により調製し,沈殿物および焼成物の組成と形態に与える影響を検討した。また,リン酸亜鉛セメントとして応用した場合,その歯科理工学的性質に与える両元素の添加の影響についても検討した。
沈殿物はZnとAlを含む塩基性炭酸化水和物であり,焼成することによりZnOとZnAl2O4が生成した。またCaとFを多量に配合したものではCaF2が生成した。焼成した粉末中のZnO粒子の大きさはCaとFの添加により増大したが,ZnOとZnAl2O4量はほとんど変化しなかった。これらの粉末を市販のリン酸亜鉛セメント液と練和した場合,そのセメント硬化体は両元素の添加により,圧縮強さが減少し硬化時間が短くなり,セメント表面の中和が促進された。とくに,Zn/Al比が5でCa, Fを少量添加し,焼成-粉砕により調整した粉末の硬化体は1%乳酸および1%クエン酸中での溶解度が市販品よりも小さい値を示した。
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© 日本歯科理工学会
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