Dental Materials Journal
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ポリカルボン酸を含む歯科用セメントと歯質との接着機構
電位差滴定からみたカルシウム共存下におけるセメントポリマーの高分子電解質挙動
飯岡 淳子荒木 吉馬松田 浩一大野 弘機
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1989 年 8 巻 2 号 p. 236-242,288

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抄録
種々な濃度のカルシウムイオンが共存するポリアクリル酸およびポリカルボン酸系セメントから分離したポリマー水溶液の電位差滴定をNaOH溶液で行った。その結果,これら高分子電解質は,カルシウムイオンが共存しない場合にはいずれも弱酸的挙動を示した。ところが,ポリマー中のカルボン酸基の濃度に対して1/2当量以上カルシウムイオンを共存させると,各ポリマーは強酸型の挙動を示した。つまり,このことはアルカリによってカルボン酸を中和してゆくと,解離したカルボキシレートイオンが共存するカルシウムイオンと強く結合するを意味している。
したがって,このような挙動は,セメントと歯質の間で起るとされる化学的接着の機構として有力なものと考えられる。
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